6月3日   幕末太陽伝   1957年(昭和32年)       邦画名作選
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明治維新を目前にした江戸の品川。ここに北の吉原と並び称される遊郭があった。

その遊郭の一室で、呑めや歌えの大騒ぎをしている男こそ、主人公佐平次。
この男、実は懐には一文の銭も持ち合わせていないのだが…。


幕末を舞台に遊郭で繰り広げられるドタバタを軽妙なタッチで描いた人情喜劇。
筋萎縮症という難病にかかり、45歳で夭逝した鬼才・川島雄三が残した会心の話題作である。

フランキー堺が演じる居残り左平次は、借金返しのために女郎屋で下働きになるのだが、
要領のよさが買われ、女郎こはる(南田)とおそめ(左幸子)から同時に言い寄られる。

年季明けに所帯を持とうと彼を口説き、女の意地が炸裂して大喧嘩を演じるシーンは秀逸。
年季明け(借金返済)など夢の夢であった女郎たちの悲哀と人間模様が描かれている。

作品のタイトル「太陽伝」は、当時流行った「太陽族」からの借り物という。

当時の新聞は「石原裕次郎初の時代劇」「マゲを結った太陽族」などとこぞって書き立てたにもかかわらず、
主演には、喜劇俳優のフランキー堺を起用し、日活看板スターはすべて脇役にまわされてしまった。

この件で日活上層部との軋轢があり、結局、川島はこの映画を最後に日活から東宝へ移籍することになった。


  製作  日活
  監督  川島雄三

  配役 居残り佐平次 フランキー堺       高杉晋作 石原裕次郎       女房お辰 山岡久乃
  女郎おそめ 左幸子       女中おひさ 芦川いづみ       貸本屋金造 小沢昭一
  女郎こはる 南田洋子       相模屋伝兵衛 金子信雄       久坂玄瑞 小林旭

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