６月１８ 日　  ジャズの歴史 （4）　モダン・ジャズ　 （Modern） 　（2）　　



1950年代、アメリカ西海岸では、ハリウッド（Hollywood）を中心とした映画産業の隆盛によりジャズの需要が生まれました。

映画やテレビのサントラを演奏するには、譜面に強く編曲能力があり、様々なジャンルや複数の楽器ができることが求められます。


そのため西海岸では、正式な音楽教育を受けた白人ミュージシャンが中心となって活躍しました。

ブームの牽引役となったのは、ジェリー・マリガン（Gerry Mulligan）やアート・ペッパー（Art Pepper）、チェット・ベイカー（Chet Baker）、

ポール・デスモンド（Paul Desmond）らスター・プレイヤーでした。



　　　　　　　　　        



その結果、彼らの間で、洒落たアレンジによる爽やかで軽快な「ウェスト・コースト・ジャズ」（West Coast Jazz）が誕生しました。

一方、アメリカ東海岸では構造的な不況に見舞われており、仕事にあぶれていた多くのジャズミュージシャンたちは、当時東部の黒人たちの間で

人気のあったリズム・アンド・ブルース（Ｒ＆Ｂ）のバンドマンとして生活していました。

彼らは、ジャズをもっと親しみやすくしようと、大衆的なＲ＆Ｂのフィーリングをビ・バップに持ち込みました。


ビ・バップの伝統をベースにＲ＆Ｂを柔軟に取り入れることで、東海岸のジャズはどんどん活気を取り戻していきました。

そして、最初、イースト・コースト・ジャズと呼ばれていたその音楽は「ハード・バップ」（Hard bop）と呼ばれ、人気を博していきます。


ハード・バップの牽引役は、マイルス・ディヴィス（Miles Davis）やソニー・ロリンズ（Sonny Rollins）のグループでした。

彼らは一定の商業的成功を収め、社会的地位とプライドを高め、次第にそれぞれの音楽的探求に没頭するようになります。

この結果、1950年代末から1960年代にかけて、ハード・バップには綺羅星のごとく名盤が産まれ、黄金時代を迎えます。

成功したミュージシャンたちは、さらにそれぞれのアプローチでビ・バップやハード・バップの特性を発展させ、洗練させていきました。




         
  　　　    You Don't Know What Love Is（Sonny Rollins）           


   

	収録アルバムの「サキソフォン・コロッサス」（Saxophone Colossus 1956）は、サックス奏者ソニー・ロリンズの名声を決定づけた名盤。
	「You Don't Know What Love Is」（恋を知らないあなた）は、アルバム中唯一のバラード曲。
	1941年のミュージカル「Keep 'em flying」の挿入歌。作詞作曲：ドン・レイ＆ジーン・デポール（Don Raye／Gene De Paul）。
	多くのジャズ・プレイヤーに好まれているスタンダード・ナンバーである。