7月31日 ピサの斜塔
(Leaning Tower of Pisa)
ピサの斜塔から重さの違う二つの鉄球を落としたら、ほぼ同時に落ちたという実験がある。
ガリレオは、七階のバルコニーからひとつの鉄球と、その10倍の重さの鉄球を同時に落とした。
斜塔の前では、多くの群衆が見守っていて、彼らは重い鉄球のほうが、先に落ちると予想していた。
17世紀の当時は、アリストテレスの「重い物体ほど速く落下する」という説が信じられていた。
だが、二つの鉄球は、ほとんど同時に地面に落ち、音もひとつしか聞こえなかったのだ。
この実験は、アリストテレスの説をくつがえした実験として、語り継がれることになった。
当時26歳、ピサ大学の講師だったガリレオは、自らの信ずることを、人を集めて証明してみせた。
物体落下の実験の場を、大衆の前に求めるなど、ショー・マン的な才能も備えていたのである。
だが彼は1633年、宗教裁判にかけられ、地動説の放棄を命じられる。
一人の科学者の大発見も、当時のローマ教会の世界観を変えることはできなかったのだ。
時はくだって1992年、ピサの斜塔の頂上で、ローマ法王がガリレオに、公の謝罪を行っている。
ピサの斜塔は、1372年、イタリアのピサ市にあるピサ礼拝堂の鐘楼として建設された。
大理石によるロマネスク建築で、高さは地上55メートル、階段は296段ある。
建設当時は、まっすぐに建っていたのだが、地盤が緩かったため、その後傾いてしまった。
だがその傾斜が、かえって観光価値を高め、多くの観光客が訪れるメジャー・スポットになった。
これ以上倒れないように、補強工事が施されたが、いずれは倒壊するといわれている。
また定刻に鳴る鐘の音は、傾斜に影響する恐れがあるため、スピーカーから流されている。
(Piazza del Duomo, 56126 Pisa PI, Italy)