8月15日    ダモクレスの剣   (Sword of Damocles)
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酒神バッカスが、この世に化身した人物として、長く人々の記憶にあったのが、シラクサ (Syracuse) の王ディオニュシオス (Dionysius) であった。
彼は、紀元前4世紀、王を生贄とする習慣を改めてしまった。

自分が生贄となるときが近づくと、王はダモクレス(血の栄光の意)という廷臣を自分の身代わりとした。
ダモクレスは王権の持つさまざまな特権をうらやましく思っていたので、みずからすすんで王の身代わりとなった。

彼はしばらくその特権を享受したが、すぐに、1本の髪の毛で吊された剣が頭上にあることに気づいた。
その髪の毛は、王が定期的に死ぬ運命にあることを象徴するものであった。

古代ギリシアにあっては、誰を王位に就けるかは女性の選択にまかされていた。
王位に就くためには、地上では女神を体現している女王と結婚しなければならなかった。
「聖なる婚姻」は、王が統治権を得るためには不可欠と考えられていたのである。

王の統治期間は、前もって定められている場合が多かった。
女神は、定期的に新しい愛人を補給する必要があると一般に考えられていたからである。
神話によれば、クレタ島の王たちも、つねに青春の花盛りのときに死んでいった。

王妃の妊娠が確認されると、その後で絞め殺されたという。
王家の子孫を1人もうけたことにより、王は人生における役割を果たしたからであった。

女神による王の選出は、主として候補者たちの性的魅力を基準にして行われた。
領土の肥沃さは、女王が性的な意味で王を受け入れることにかかっていたからである。

王を選出する通常の方法は、女神が処女性を回復する「水浴の儀式」の際に、王となる男性に女神の裸体を眺めさせ、彼の男としての生殖能力を吟味することだった。
女神は、愛人になる予定の男たちに、「汝の男らしい力を味わおう。汝の手(すなわち、男根)を現して、我が処女性を奪うべし」と言いながら、彼女の裸身を差し出したという。

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