舞台は第一次世界大戦下のロンドン。
空襲時にウォータールー橋で偶然出会う男女。
イギリス将校ロイとバレエの踊り子マイラである。
二人は瞬く間に惹かれ合い、翌日には結婚の約束を交わす。
しかし戦争はそんな二人を引き裂き、ロイは再び戦場へ。
健気に彼の帰りを待つマイラ。
だがそんな彼女に届いた報せはロイの戦死を伝えるものだった…。
第二次世界大戦直後に公開された反ナチスドイツ映画である。
当時のハリウッド映画は、欧州各国に配給されていた。
そのため、反ナチスの意図を表立って掲げるわけにはいかなかった。
そこで戦時下に咲いたイギリス将校と踊り子のラブロマンスという筋書きで制作し、
作品に込められた真の意味をカモフラージュしたのである。
ロンドンのウォータールー橋で出会った二人は、ドイツとの戦争で引き裂かれる。
そしてこの映画を見た大衆は、ドイツに対する敵愾心を大いに高揚させるのである。
ウォータールーは英語読みだが、ベルギー語ではワーテルローとなる。
イギリスをはじめとする連合軍が、ナポレオン軍を撃破した古戦場として知られる。
本作では、撃破すべき対象が、ナポレオンからナチスドイツへ置き換わっているのだ。
哀愁 (Waterloo Bridge) 1940年 (米、MGM) 1949年日本公開
監督:マーヴィン・ルロイ (Mervyn LeRoy)
出演:ヴィヴィアン・リー (Vivien Leigh) マイラ、ロバート・テイラー (Robert Taylor) ロイ
ヴァージニア・フィールド (Virginia Field) キティ