10月13日 不思議の国のアリス(7) (女王さまのクロケー)
こうしてうまくだましおえると、アリスは女王に帰り道をたずねます。
「もしもお前が、クロケーの試合をして、わたしに勝てば、帰り道を教えてやろう」
クロケーは、球はハリネズミ、クラブはフラミンゴで、みんな女王の味方でした。
「ぜんいん、いちにつけ!」
女王の命令で、みんな野原にちらばると、いよいよクロケーの試合がはじまった。
ところが、フラミンゴのクラブで、ハリネズミの球をうつのは、かんたんじゃない。
フラミンゴが、ひょいと顔をあげて、アリスを見あげてくる。首をまっすぐにするのがひとくろう。
おまけに、球のかたちにまるまっていたハリネズミが、うーんって、体をのばして、のそのそにげだしてしまう。
アリスはなんとか勝とうとがんばりましたが、けっきょく負けてしまいました。
でも、もしも彼女が女王に勝ってしまっていたら、きっと死刑になっていたでしょう。
勝った女王は、たいそうごきげんのようす。
「アリスもなかなかやるではないか、まぁけっきょく、わたしが勝つのは当然ではあったが」
「女王さま。家に帰る道を教えて下さい!」 アリスは懸命(けんめい)にたのみます。
「明日もういちど、試合をしようではないか。わたしに勝てるようがんばるがよい」
そう言うと、女王の一行は、きちんと隊列をくんで城へ向かって行進していった。
ようやく、そのすがたが見えなくなって、アリスがためいきをついたとき。
「さいばんだ! お城で、さいばんがはじまるぞ!」 遠くから、大きな声が聞こえた。
「さいばんですって? いったい、なんのさいばん?」
でもみんな「さいばんだ」と、さけびながら、あたふたと走りまわるばかり。
そんなわけで、アリスも、みんなのあとについて、お城へ急ぐことにしました。