11月 18 日 魔術 (Magic)
科学が世界を席巻する以前、ほんの数世紀前まで、呪術、魔術、錬金術といったものは科学と混在していた。
これらを扱う人々は呪術師、魔術師、錬金術師と呼ばれ、その方法を自分たちの伝承や神話から見つけ出そうとしてきたのである。
伝承や神話の登場人物は、自由自在に空を飛んだり、時間を超越したり、物の形を変えたりしている。
これが、いわば魔術のルーツである。
パラケルスス(Paracelsus)やアグリッパ(Agrippa)など中世ヨーロッパの魔術研究家は、バビロニア、エジプト、
北欧、ギリシアなどの古代文献を解読していくつもの魔術論、実施方法を現代に残している。
彼らは、魔術を「霊を呼び出して、超自然現象を起こさせる術」と定義した。
「霊」とは、精霊、悪魔、天使、妖精などと呼ばれているものすべてを網羅した言葉である。
人間とは無力な存在であるが、肉体を持たない霊は、時間や空間を行き来したり、人間の知らない知識や能力を持ち合わせている。
そうした霊的存在の力を借りるのが魔術である。
それを、どのようにして借りるかというのが魔術の術、つまりテクニックであり、その際、大きな役割を担うのが魔術儀式である。
すべての人間は魔術師の素質を備えているといわれる。
人間の肉体は霊的存在を感じ取る「受信器 Receiver」である。
魔術の才能とは、人間が祖先から受け継いだ、古代人の直感そのものなのだ。
しかし、潜在意識によってその能力は極度に抑制されている。
その隠された能力を開発し、創造的な天賦の才能を呼び起こすことができるかどうかが、魔術師となるうえでの鍵なのである。
(ギリシア神話事典より)