12月11日   不思議の国のアリス (Alice's Adventures in Wonderland)
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「不思議の国のアリス」は、オックスフォード大学の数学教師であったルイス・キャロル(Lewis Carroll)が、ある夏の日のピクニックで、学寮長リデル(Liddell)博士の3人の娘たちにせがまれ、即興で語り聞かせた話がもとになっている。

キャロルはこの即興の物語を自作の本に仕立て、リデル家の次女アリス・リデル(Alice Liddel)に、クリスマス・プレゼントとして贈った。
タイトルは「地底の国のアリス」(Alice's Adventures Under Ground)。

のちに新たなエピソードを加え、テニエル(John Tenniel)の挿絵を付して出版されたのが「不思議の国のアリス」である。
アマチュア写真家でもあったキャロルは、リデル博士の家族に撮影許可を貰った。

親としても、我が子の幼い肖像を手元に残せる貴重な機会だったはずである。
こうしてキャロルとリデル一家との交遊が始まった。

数学者であったキャロルにとっては、それまでの絵画にはない正確な視覚的イメージとして、写真は心を惹きつけてやまないものだった。
キャロルの被写体は、もっぱらリデル家の幼い子供たちだった。

「地底の国のアリス」の最後のページにも、彼が撮影したアリス・リデルの写真が貼られている。
「不思議の国のアリス」でアリスの年齢は7歳、その続編ともいうべき「鏡の国のアリス」(Through the Looking Glass)では7歳半に設定されている。

キャロルにとって7歳という年齢は少女友だちとして理想的な年齢だったと思われる。
「地底の国のアリス」をプレゼントしてから半年後、13歳の誕生日直前のアリス・リデルを見た彼は、少女から大人へと変わりつつある彼女への失望をもらしている。

キャロルはアリス・リデルと彼女を主人公にした地底の国でさまざまな冒険をするヒロイン、アリスを通して、そこに自分の理想のまま変わらぬ7歳の少女「アリス」の面影を見ていたのである。
事実、すでに12歳に達していたアリス・リデルに贈られた「地底の国のアリス」の最終ページに貼付されていた写真は、彼女が7歳の時のものであった。

物語の中のアリスは自己主張が強く、嫌なことは嫌だと言える性格に設定されている。
アリスは、はじめ不条理な世界に翻弄されるが、理不尽なハートの女王がただのトランプに過ぎないことを見抜いて、大人の世界の権威と力の実態を暴き、これに対する抗議の告発をして終わる。

さらに「鏡の国のアリス」では、自らが女王になることを予感させる。

「黙っておれ!」と 女王が言いました。

「いやよ!」とアリスが言いました。 「あなたたちなんて、ただのトランプじゃないの!」  (『不思議の国のアリス』 高橋康也/高橋迪訳から)

身体的には子供でありながら、大人のような表情を見せるアリスの姿に、キャロルは妖精ないしは少女神のイメージを付加した。
生涯独身を貫き、大人の女性よりも、少女との付き合いを好んだキャロルにとって、アリスは「色褪せることのない永遠の少女」であった。

キャロルは「鏡の国のアリス」の中で、7歳6ヵ月だというアリスに向かって、ハンプティ・ダンプティ(Humpty Dumpty)に「7歳でやめておけばよかったのに」と言わせている。
キャロルにとっては、大人になることは「罪を犯す者になること」だったのではないだろうか。

参考:「変容するアリス」(名古屋女子大学 杉村藍)



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当てはずれ


『不思議の国のアリス』を読んですっかり気に入ったヴィクトリア女王から、

ルイス・キャロルに「次の著作もぜひ読みたいものだ」とお言葉があった。

彼が早速著作を献呈したので、大急ぎで開けてみると、『行列式初歩』という高等数学の本だった。







































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