12月12日 君の名は 1953年(昭和28年) 邦画名作選
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空襲の夜、数寄屋橋で半年後の再会を約束する真知子と春樹。
しかし約束の夜、真知子は遂に現われなかった。
彼女は無理解な縁談を強いられ、遠く佐渡ヶ島にいたのだった。
それから一年後、二人はようやく再会する。
だが真知子は、明日は人の妻になる身であった。真実を打ち明けられた春樹は…。
東京大空襲の中で偶然知り合った春樹と真知子は、好意を抱き合ったが、
お互いの名も知らないまま、再会を約束して、そのまま別れた。
作者の菊田一夫によれば、この場面は、アメリカ映画「哀愁 1940年」の
橋の上での出会いから思いついたという。
一年半後、二人は約束した数寄屋橋で再会するが、真知子はもう他の男と
婚約してしまっていた。二人は別れるが、互いに相手を思う心はつのるばかり。
真知子は姑ともうまくゆかず、また夫の横暴のため別れたいと思うが、
夫は離婚に応じようとはしなかった。
作者の菊田は、女性は解放されたといっても離婚すら容易にはできないのだと
訴えたかったという。
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映画化されたのは、昭和28年だが、それに先行して昭和27年4月からNHKラジオドラマ
として、毎週木曜夜8時30分から9時まで放送された。
番組は多大な人気を博し、放送が始まる時間になると、銭湯の女湯から人が消えると
いわれるほどであったという。
翌年、松竹で映画化されると、今度は男性客で映画館は満杯になり空前の大ヒット。
一方、真知子の纏ったマフラーの巻き方が「真知子巻き」と呼ばれて女性の間で大流行した。
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製作 松竹
監督 大庭秀雄 原作 菊田一夫
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君いとしき人よ(伊藤久男)
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1 |
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君 名も知らぬ うるわしき人よ |
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君はしあわせか |
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夜霧の橋に 君待てど |
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街はただふけて ネオンは悲し |
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ああ 君ありてこそ 楽しきに |
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2 |
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君 われを捨て 去りにし人よ |
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君はしあわせか |
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落ち葉の路に 見る君の |
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ぬれたまつ毛に 涙はにじむ |
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ああ 君ありてこそ 楽しきに |
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3 |
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君 はるかなる いとしき人よ |
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君はしあわせか |
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春花咲けば 心ときめき |
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街に風吹けば あの日を想う |
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ああ 君ありてこそ 楽しきに |
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作詞:菊田一夫 作曲:古関裕而 |
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