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ドゥルガーDurga/カーリーKali/パールヴァティParvathi
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ドゥルガー(得がたい者)と呼ばれるヒンドゥー(Hindu)の女神は、外見は優美で美しいが、実際は恐るべき戦いの女神である。
彼女は宇宙におけるすべての戦争のエネルギーを具現し、かつ集結して、仲間の神々を脅かす者にとっての無敵の存在になることができた。

彼女は宇宙の秩序を脅かす悪魔の敵として名高い。
彼女の配偶者シヴァと同じく、ドゥルガーの性格も複雑だ。
基本的には破壊者として作られたものの、彼女がとる姿によっては養育する神になることもできる。

あるとき、マヒシャースラ(Mahisasura)と呼ばれる水牛の悪魔がつらい苦行の末、大きな力を得た。
彼はブラフマー(Brahma)に不死身にしてほしいと頼んだが拒否されると、女性以外には殺されないようにしてほしいと傲慢にも要求した。

はば無敵であることが保証されたマヒシャースラは暴れ続け、神々を攻撃した。

ブラフマーの恩恵に守られたマヒシャースラに勝てる神はいないとわかり、全能の3神であるブラフマー、ヴイシュヌ(Vishnu)、
シヴァ(Shiva)は、彼らの神力を結集し、女性の力の典型である女神ドゥルガーを生み出した。

10本の腕をもつドゥルガーは神々から特別な武器を授かり、ライオンにまたがって、マヒシャースラ率いる悪魔軍との対決しに向かった。
女神は恐れる様子もなく、その顔は恐ろしい力を発していた。

悪魔はドゥルガーを見ると一斉に飛びかかってきたが、彼女にどんどん切り捨てられていった。
彼女は幾人かを棍棒で、他のものたちを三叉の矛と剣で始末し、また幾人かを輪縄で捕らえた。

それから頭蓋骨の首飾りと切断された腕のスカートをつけた恐ろしいカーリーの姿になって、敵と戦った。
この戦いで数百の悪魔が殺されたが、彼らの首領であるマヒシャースラは相変わらず無敵で倣慢なままだった。

大胆にもマヒシャースラはドゥルガーの乗り物である吼えるライオンに向かって進んだ。
ドゥルガーは輪縄を敵の首に巻きつけたが、彼は変身能力を使って人間に化けた。
するとドゥルガーが三叉の矛で彼を突いてきたので、彼は突進する象にすばやく変身した。

ドゥルガーは彼の胴を切り取ったが、彼は元の水牛に戻り場所を移動した。
次にマヒシャースラは山々を引き抜き、ドゥルガ一に向かって投げた。

彼女はやすやすと身をかわし、恐れることなく接近し、水牛の悪魔を足で押さえつけ、三叉の矛で突き刺し、首をはねた。
悪魔はゆっくりと本来の姿に戻り、瀕死の状態で後悔の念を表した。

ブラフマーの贈り物は条件どおりに与えられており、マヒシャースラはとうとう女性によって負かされたのである。

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ドゥルガーがとる姿はいくつかあるが、すべて偉大な女神マハーディーヴィー(Mahadevi 大女神)の側面である。
彼女は創造のまさに中心にある女神のエネルギー、つまリシャクティ(Shakti)の具現である。

幾人かの女神はドゥルガーの別の姿として崇拝される。
マヒシャースラとの戦いで、ドゥルガーの額から破壊の具現として現れた女神カーリーもそのひとりである。

マヒシャースラとの戦いののち、カーリーは破壊の踊りを止められなくなった。
それでシヴァが虐殺を止めるために彼女の足元に横たわったという。

また、聖なる火に身を投げて死んだサティ(Sati)はシヴァ神の最初の妃であったが、パールヴァティは、サティーの肉片から生まれた女神とされている。
パールヴァティは、もともと情け深い女神だったが、水も食物も断つという厳しい苦行に耐え、シヴァを説得して結婚したのである。

ドゥルガーは、慈愛の女神パールヴァティや富の女神ラクシュミ−(Lakshmi 吉祥天)、芸術の女神サラスヴァティ(Sarasvati 弁財天)のような、思いやりに満ちた優しい姿をとることもある。

ドウルガーの娘として崇拝されることの多いラクシュミーは、手から金貨を滝のように落とす姿で描かれ、富と繁栄を象徴している。
ヴィシュヌの妃であるラクシュミーは、ヴィシュヌが世界を救うために化身するたび、その妻として何度も生まれ変わった。

たとえばヴィシュヌがラーマ王子(Rama)だったとき、彼女は王女シーター(Sita)であった。
このことから母性や生命を象徴する存在ともされ、子宮や不死を意味する蓮の花の上に座った姿で描かれることが多い。

サラスヴァティは、芸術と学問の女神として崇拝され、蓮の花に座ってヴィーナ(Vina)という弦楽器をかき鳴らしている姿で描かれる。
また、サンスクリット語(Sanskrit)を考案したのも彼女だとされている。

サラスヴァティは、ブラフマー(梵天)の創造物であり、また彼の妻であるともされている。
ブラフマーは、自分の娘ともいえるサラスヴァティの美しさに魅せられて迫り続け、逃げ回っていた彼女についに結婚を承諾させたという。

Myths&Legends(Philip Wilkinson)