イングリッド・バーグマン(Ingrid Bergman)

生年月日 : 1915/08/29
出身地 : スウェーデン/ストックホルム
没年 : 1982/08/29

「カサブランカ」 (1942年)「誰が為に鐘は鳴る」 (1943年)「聖メリーの鐘」 (1945年)「汚名」 (1946年)。
戦後、ぞくぞくと登場したスターたちの中で、群をぬく存在だった。

アカデミー賞も三たび。「ガス燈」 (1944年)「追想」 (1956年)「オリエント急行殺人事件」 (1974年)。
老いても引退を考えることなく、死の直前までカメラの前に立っていた。

生前から、墓碑銘には「生の最後の日まで演技した」と記すことを決めていたというが、
まさしくその通りのみごとな生涯だった。




代表作品

      カサブランカ(CASABLANCA)1942年(米)

第二次大戦中のフランス領モロッコ・カサブランカ。
そこには、アメリカに亡命しようとする人々で溢れかえっていた。

ある夜、酒場を経営するアメリカ人リック(ボガート)の店に、
かつて恋人だったイルザ(バーグマン)とその夫がやってくる。

主演の二人以外は、ユダヤ系の俳優が演じた反ナチスドイツ映画。主演の二人は、映画の真の意味を
知らずに演じていた。反ナチスと悟られて、二人の口から、その筋に情報がもれては困るからだった。

(監督)マイケル・カーティス(MICHAEL CURTIZ)
(出演)ハンフリー・ボガート(HUMPHREY BOGART)イングリッド・バーグマン(INGRID BERGMAN)
       
       
      誰が為に鐘は鳴る(FOR WHOM THE BELL TOLLS)1943年(米)

第二次大戦直前のスペイン内乱。元大学教授ロバート(クーパー)は、義勇軍に身を投じる。

彼は、ゲリラのジプシーたちと行動をともにするが、そこでスペイン娘マリア(バーグマン)
と出会う。やがて二人は激しい恋に落ちるが…。

キスをするとき、バーグマンの「鼻が邪魔にならない?」というセリフは有名。
このキスシーン、バーグマンの横顔が息をのむほど美しい。

(監督)サム・ウッド(SAM WOOD)
(出演)ゲイリー・クーパー(GARY COOPER)イングリッド・バーグマン(INGRID BERGMAN)
 
       
       
      ガス燈(GASLIGHT)1944年(米)

ロンドンで女性歌手が殺害され、姪のポーラ(バーグマン)が莫大な遺産を受け継ぐ。
ポーラは、音楽家のグレゴリー(ボワイエ)と結婚。夫との幸せな日々を送ることに。

だがやがて不審な出来事が相次いで起こる。高価なネックレスの紛失、不意に暗くなる邸内のガス燈、
天井裏から聞こえる異常な物音。恐怖に慄くポーラに、夫は気のせいだと言ってとりあわない。

財産目当ての夫は、真綿で首を絞めるように妻を追い詰めていく。強迫観念に苛まれ、やつれていく
ポーラ役のバーグマンは、それでもうっとりするくらいに美しい。

(監督)ジョージ・キューカー(GEORGE CUKOR)
(出演)イングリッド・バーグマン(INGRID BERGMAN)
シャルル・ボワイエ(CHARLES BOYER)ジョゼフ・コットン(JOSEPH COTTEN)
       
       
      凱旋門(Arch of Triumph)1948年(米)

第二次大戦直前の1938年、パリには亡命者があふれていた。ドイツ人外科医ラヴィック(ボワイエ)も、
ナチスに追われてパリへ逃れて来た。彼は旅券のないまま、非合法の手術をして生活費を稼いでいた。

ある晩彼は、セーヌ河に身を投げようとしている一人の娘を助ける。彼女はジョアン(バーグマン)
という女優の卵だった。幾度か逢瀬を重ねるうちに、二人の間には愛が育まれていった。
そんな折、ラヴィックは、亡命者であることが当局に知れ、フランスを追放されてしまう。

「ガス燈」では、ボワイエに殺されかけるバーグマンだが「凱旋門」では、お互いに愛し合う。
二人の身長差がちょっと気になるが、ボワイエの美声と台詞回しが、そんなハンデを完璧にカバーしている。

(監督)ルイス・マイルストン(Lewis Milestone)
(出演)イングリッド・バーグマン(Ingrid Bergman)シャルル・ボワイエ(Charles Boyer)
       
       
    イタリア旅行(Viaggio in Italia)1954年(伊/仏)

アレクサンダーとキャサリンは、子供はいないが仲のいい、と見られている中年夫婦。
亡くなった叔父の別荘を売却するために、英国からはるばるイタリアへやって来た。
結婚八年、初めて夫婦水入らずの旅行の筈だが、どうも二人の間はぎくしゃくしている。

倦怠期の中年夫婦が、旅行の最中に決定的ともいえる破局を迎える。やがて妻は美術館に、
夫はカプリ島にと別行動をとる。だが妻は、なかなか帰ってこない夫が気になり寝付けない。
再び落ち合った二人は、ポンペイ遺跡で、抱き合ったまま死んだ男女の遺影を見て衝撃を受ける。

長い歴史の中で人間の営みなど、いかに些細なものかと気づいた二人の、ひしと抱き合うシーン
で映画は終わる。作品は夫婦の心の機微を描いて秀逸。

(監督)ロベルト・ロッセリーニ(Roberto Rossellini)
(出演)イングリッド・バーグマン(Ingrid Bergman)ジョージ・サンダース(George Sanders)
 
       
       
      オリエント急行殺人事件(MURDER ON THE ORIENT EXPRESS)1974年(英)

三日間のヨーロッパ横断の旅にのぼったオリエント急行は、厳寒の季節には似合わず、いつになく混んでいた。
列車は山中で大雪のため立ち往生し、その鍵のかかった車室で、一人の大富豪アメリカ人が死亡した。
他殺の疑いが濃かった。満身に12カ所もの刺し傷を受けていたのだ。密室状況の豪華な列車内で起こった
奇妙な事件に、乗り合わせた名探偵ポアロ(アルバート・フィニー)が捜査を開始する。

ポアロの推理によって、さしもの難事件も解決した。彼はマフィアの抗争による殺人事件だと当局に報告、
それ以上乗客たちの罪を追及することはしなかった。やがて列車は国境の駅に着く。
万感の思いを込めた乗客たちは、無言のうちに杯を挙げて祝い合い、みなそれぞれの場へと別れて行った。
イングリッド・バーグマンは、中年のスウェーデン人宣教師グレタ・オルソンを演じている。

(監督)シドニー・ルメット(SIDNEY LUMET)(出演)アルバート・フィニー(ALBERT FINNEY)
イングリッド・バーグマン(INGRID BERGMAN)ローレン・バコール(LAUREN BACALL)ショーン・コネリー(SEAN CONNERY)
リチャード・ウィドマーク(Richard Widmark)ジャクリーン・ビセット(Jacqueline Bisset)
 
       

国際試合(Landskamp)1932年
ムンクブローの伯爵(Munkbrogreven)1935年
波濤(Bränningar)1935年
スウェーデンイェルム家(Swedenhielms)1935年
ワルプルギスの夜(Valborgsmässoafton)1935年
日向で(På solsidan)1936年
間奏曲(Intermezzo)1936年
ドル(Dollar)1938年
女の顔(En kvinnas ansikte)1938年
四人の仲間(Die vier Gesellen)1938年
一夜かぎり(En enda natt)1939年
別離(Intermezzo: A Love Story)1939年
六月の夜(Juninatten)1940年
四人の息子(Adam Had Four Sons)1941年
天国の怒り(Rage in Heaven)1941年
ジェキル博士とハイド氏(Dr. Jekyll and Mr. Hyde)1941年
カサブランカ(Casablanca)1942年
アメリカのスウェーデン人(Swedes in America)1943年
誰が為に鐘は鳴る(For Whom the Bell Tolls)1943年
ガス燈(Gaslight)1944年(アカデミー主演女優賞)
聖メリーの鐘(The Bells of St. Mary's)1945年
白い恐怖(Spellbound)1945年
サラトガ本線(Saratoga Trunk)1945年
汚名(Notorious)1946年
凱旋門(Arch of Triumph)1948年
ジャンヌ・ダーク(Joan of Arc)1948年
山羊座のもとに(Under Capricorn)1949年
ストロンボリ(Stromboli, terra di Dio)1950年
ヨーロッパ一九五一年(Europa '51)1952年
われら女性(Siamo Donne)1953年
イタリア旅行(Viaggio in Italia)1954年
火刑台上のジャンヌ・ダルク(Giovanna d'Arco al rogo)1954年
不安(La Paura)1954年
恋多き女(Elena et les Hommes)1956年
追想(Anastasia)1956年(アカデミー主演女優賞)
無分別(Indiscreet)1958年
六番目の幸福(The Inn of the Sixth Happiness)1958年
さよならをもう一度(Goodbye Again)1961年
訪れ(The Visit)1964年
黄色いロールス・ロイス(The Yellow Rolls-Royce)1964年
刺激(Stimulantia)1967年
サボテンの花(Cactus Flower)1969年
春の雨の中を(A Walk in the Spring Rain)1970年
クローディアと貴婦人(From the Mixed-Up Files of Mrs. Basil E. Frankweiler)1973年
オリエント急行殺人事件(Murder on the Orient Express)1974年(アカデミー助演女優賞)
ザ・スター(A Matter of Time)1976年
秋のソナタ(Höstsonaten)1978年