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ランスロットLancelot
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仏領ベンウィック(Benwick)のバン王(King Ban)と妃のエレイン(Elaine)の間に生まれた。
父の死後、母親によって湖のほとりに置き去りにされたところを、「湖の乙女(Lady of the Lake)」にひろわれ、育てられた。
長じてアーサー王(King Arthur)の信望あつい「円卓の騎士(Knights of the Round Table)」となった。

バン王は、アーサー王の忠実な同盟者だったが、宿敵クローダス王(King Claudas )の猛攻を受け、妻子と共に城を抜け出す。
しかし、炎上する城を見て悲嘆のあまり命を落としてしまう。

そのとき、一人の女性が幼い王子(ランスロット)を湖の中へと連れ去って行く。
この女性は「湖の乙女」と呼ばれる女王で、魔術師マーリン(Merlin)の弟子にあたるヴィヴィアン(Vivian)であった。

以後、ランスロットは湖の妖精たちに養育され、常人を越えた知恵と勇気、そして武芸を身につけた。
このため、彼は「湖の騎士(Lancelot of the Lake)」と呼ばれることになる。

18歳になったランスロットを、ヴィヴィアンは、アーサー王の宮廷へ連れていき、騎士の資格を得られるように願い出る。

ランスロットは、姿・形も気品に満ちて美しく、武芸に秀で、礼儀作法もかなったりっぱな若者だった。
そのため、多くの女性から熱い眼差しが注がれることになった。

なかでも王妃ギネヴィアの心は、ランスロットが王から騎士の称号を得た瞬間から惹きつけられてしまう。
これが後々、円卓の騎士たちに災いをもたらすことになる。

アーサー王への忠誠と、王妃ギネヴィアへの愛で板挟みとなったランスロットは、アーサー王の右腕として数々の武勲を立てていた。
しかし、王妃ギネヴィアとの密会を続け、それは宮廷中の噂になっていった。

ある日、二人が密会しているところを円卓の騎士に見つかり、動転したランスロットは騎士達を殺して逃亡した。
王妃は不義の罪で捕まり、火刑が宣告された。

ギネヴィアの処刑の日が来た。
薪が積まれ、まさに刑が執行されようとした時、ランスロットが現れ、ギネヴィアを救出した。
この時、多くの騎士がランスロットの手にかかり命を落とした。
ランスロットは追われる立場となり、自らの領土であるフランスへと逃れた。

アーサー王は兵を集めてランスロットを追撃したが、ランスロットは防戦ばかりで反撃しようとしなかった。
しかし、この戦いは長くは続かなかった。
それはアーサーの息子モドレッド(Mordred)がアーサー王の座を我がものにしようと反乱を起こしたからである。
モドレッドは、アーサーの義理の姉モルガン(Morgan)の息子で、アーサーが義姉とは知らずに愛して生まれた子供である。

アーサーは反乱鎮圧のためイギリスに引き返した。
しかし、モドレッドを倒すために軍を戻したものの、苦戦してしまう。

これを見た円卓の騎士のガウェイン(Gawain)は、ランスロットにアーサー王を助けてほしいと手紙を書き、ランスロットは全軍を率いて加勢に向かう。

だが間に合わず、アーサー王はモドレッドを討ち果たしたものの、戦いで致命傷を負ってしまう。

傷の深さを知ったアーサーは、自分の剣であるエクスカリバー(Excalibur)を湖に投げ込むように命令した。
ためらう部下が剣を投げ入れると、水中から2本の手が現れ、剣を受け取った。
そして、剣を空に向かって振り、水中に消えた。

「余をあの舟へ」。
岸辺には一艘の舟がいて、黒い頭巾を被った9人の貴婦人が乗っていた。
貴婦人たちは王を受け取ると、彼の傷を癒すためにアヴァロン(Avalon)の島へと向かっていった。

アーサー王を失った王妃ギネヴィアは尼僧となり、ランスロットも世を捨てて神に仕えた。
二人は二度と逢うことはなかった。
その後、ギネヴィアの死が伝えられると、ランスロットは食を絶って彼女のあとを追ったのである。

The Illustrated Encyclopaedia of Arthurian Legends (Ronan Coghlan)
Legends of King Arthur and the Knights of the Round Table (Thomas Bulfinch)