ローレンス・オリヴィエ(Laurence Olivier)

生年月日 : 1907/05/22
出身地 : イギリス/サリー州
没年 : 1989/07/11

威厳と色気のある若い王族を演じたら右に出る者なく「シェイクスピア俳優」と謳われた。

舞台俳優で成功した人物であるが、やがてシェイクスピアものの映画化に意欲を示し、
1930年、リリアン・ハーヴェイ主演の「テンポラリーウィドウ」でスクリーン・デビューした。

1937年「無敵艦隊」で共演したヴィヴィアン・リーと恋に落ち、1940年結婚。
以後「嵐ケ丘 1939」「レベッカ 1940」等でハリウッドでも成功を収める。

1948年、自ら監督、主演した「ハムレット」でアカデミー作品賞、主演男優賞を受賞。

その後もイギリスを代表する名優として数々の映画・舞台で活躍した。




代表作品

      嵐が丘(Wuthering Heights)1939年(米)

英国ヨークシャーにある屋敷「嵐が丘」の当主が孤児を引き取り、ヒースクリフと名付ける。
彼と当主の娘キャシーは愛し合うようになるが、上流階級の男性エドガーが現れたことで、
ふたりの関係はヒースクリフの報復劇につながる悲恋へと転じてしまう。

身分の違う二人は、一度は激しく結ばれるのだが、キャシーは、計算づくで上流階級のエドガーと結婚。
裏切られたと思い込んだヒースクリフの憎悪たるや凄まじく、キャシーに復讐の矛先を向ける。

可愛さ余って憎さ百倍と言われるが、まさに憎しみは、愛の裏返しであるという事が伺える作品。
ローレンス・オリヴィエが執念深く陰湿な主人公ヒースクリフを熱演している。

また、キャシーの夫となるエドガーを若き日のデヴィッド・ニーヴンが演じている。

(監督)ウィリアム・ワイラー(William Wyler)(出演)マール・オベロン(Jean Simmons)
ローレンス・オリヴィエ(Laurence Olivier)デヴィッド・ニーヴン(David Niven)
       
       
      レベッカ(Rebecca)1940年(米)アカデミー最優秀作品賞

アメリカ娘キャロライン(フォンテイン)は、モンテカルロで英国の大富豪マキシム(オリヴィエ)
と出会い、彼の二度目の妻として、多くの使用人がいる大邸宅に迎えられる。

だがその邸宅での日々は、ボートの遭難事故で溺死した前妻レベッカの見えない影が常につきまとい、
徐々に押しつぶされそうになってしまうのだった。

カメラワークが華麗で、不在の前妻レベッカの存在が常に観客の好奇心を掻き立てる。
フォンテインの儚げな美しさとオリヴィエの謎めいた言動が物語の面白さを倍増している。

(監督)アルフレッド・ヒッチコック(Alfred Hitchcock)
(出演)ジョーン・フォンテイン(Joan Fontaine)ローレンス・オリヴィエ(Laurence Olivier)
       
       
    ヘンリィ五世(Henry V)1944年(英)

十五世紀前半、百年戦争さなかのイギリス。先王・ヘンリィ四世の跡を継いでイングランド王となった
ヘンリィ五世は、三万の大軍を率いてフランスへ侵攻を開始し、アジンコートの戦いに臨む。

ヘンリィ五世は、世界史の教科書には登場しないが、イギリスでは英雄的な存在として人気が高い国王だ。
シェイクスピアの戯曲「ヘンリィ五世」で、フランスとの決戦の前に兵士たちを鼓舞する演説は、現在でも
愛国心を盛り上げる名スピーチとして引き合いに出されることが多い。

映画の制作は、第二次大戦さなかの1944年。首都ロンドンをドイツ空軍の爆撃にさらされながらも、ようやく
反攻の時を迎えた時期で、国民の戦意高揚が第一の狙いであり、オリヴィエの台詞にもそれが表れている。

(監督・出演)ローレンス・オリヴィエ(Laurence Olivier)(出演)ルネ・アシャーソン(Renée Asherson)
 
       
       
    ハムレット(Hamlet)1948年(英)アカデミー最優秀作品賞、ベネチア国際映画祭グランプリ

明け方城壁に父王の亡霊が現れるという報告を聞いたハムレットは、信用の出来る臣下と共に亡霊の出現を待つ。
やがて現れた父の亡霊は、ハムレットだけを導き、一人にして「弟の現王に殺された」と告げ「子として復讐を
するように」と命じるとともに「他に漏らさぬように」誓わせ、そして消える。

だが、ハムレットは「亡霊の言葉」に疑問を持つ。確たる証拠が欲しいと。その鬱々とした煮え切らない態度が
悲劇を招く。迷ったあげく復讐を実行するのだが、誤ってオフィーリアの父親を殺害してしまうのだ。
ハムレットを愛するオフィーリアは、父親が殺されたため発狂、悲劇は終局へなだれ込む。

何度となく映画化されている作品だが、本作は、台詞の美しさ、そしてモノクロ画面に気品が満ちるような映像美
を描き出した点において、古典的傑作とされている。オフィーリアに抜擢されたジーン・シモンズは、この時18歳。

舞台経験のない彼女が、オフィーリアを演じたことで、演劇畑の評論家からはケチもつけられたが、狂乱の末、
水死する場面を、迫真の演技で演じ切り、ベネチア国際映画祭女優賞を受賞している。

(監督・出演)ローレンス・オリヴィエ(Laurence Olivier)(出演)ジーン・シモンズ(Jean Simmons)
 
       
       
      王子と踊子(The Prince and the Showgirl)1957年(米)

カルパチア国チャールズ大公(オリヴィエ)は、イギリス国王の戴冠式に出席する。

その夜オペレッタを観劇した大公は、若い踊り子エルシー(モンロー)に一目惚れ。
さっそく彼女を晩餐会に招待して、甘い愛の言葉で誘ってみるのだが…。

我がままなモンローを、何とか手懐けようと奮闘する様子が、作品にも見えてこれが傑作。
ハムレットやリチャード3世など、これまでシリアスな役どころが多かったオリヴィエだが、
本作では、コメディ俳優としての新境地を披露している。

(監督・出演)ローレンス・オリヴィエ(Laurence Olivier)(出演)マリリン・モンロー(Marilyn Monroe)
       
       
    スパルタカス(Spartacus)1960年(米)

紀元前1世紀のローマ。剣闘士スパルタカス(ダグラス)は、将軍クラッスス(オリヴィエ)の高圧的な
権力に逆らって逃亡。奴隷たちによる反乱軍を組織し、政府軍と戦って勝ち続ける。
しかし大平原での激戦で奴隷軍は壊滅し、彼は生き残りの奴隷たちと共に磔の刑に処せられる。

一方、スパルタカスの妻バリニア(シモンズ)は、元老院の計らいで、女奴隷から自由の身となり、
生まれたばかりの男の子を抱いて、十字架上の夫に最後の別れを告げる。

十万人の奴隷を率いてローマに反逆した実在の剣闘士の物語。単なる見せ物的な歴史劇に終わらせず
奴隷解放を掲げて人間の自由と尊厳の死守を訴える力強いスペクタクル大作に仕上がっている。
最終的に反逆は失敗に終わり、スパルタカスは死罪になるが、磔になった姿はキリスト(救世主)を
彷彿とさせるシーンとなっている。

(監督)スタンリー・キューブリック(Stanley Kubrick)(出演)カーク・ダグラス(Kirk Douglas)
ジーン・シモンズ(Jean Simmons)ローレンス・オリヴィエ(Laurence Olivier)
 
       
       
      タイタンの戦い(Clash of the Titans)1981年(米)

全能の神ゼウスと人間の間に生まれたペルセウス。彼は、王女アンドロメダと運命の出会いを果たす。

だが彼女は、女神テティスの呪いを掛けられ、まもなく海獣の生け贄にされてしまうのだという。
アンドロメダを救うため、海獣退治に向かうペルセウスだが…。

SFXの魔術師ハリーハウゼンの作品。蛇頭の怪物メデューサ、海の魔物クラーケン、天翔ける馬ペガサスなど、
ギリシア神話の生き物たちが多数登場する作品として全世界のファンタジーファンに絶賛された。
オリヴィエの役柄は、ペルセウスの父であり、神々の王であるゼウスを威厳たっぷりに演じている。

(監督)デズモンド・デイヴィス(Desmond Davis)(特撮)レイ・ハリーハウゼン(Ray Harryhausen)
(出演)ハリー・ハムリン(Harry Hamlin)ジュディ・バウカー(Judi Bowker)
ローレンス・オリヴィエ(Laurence Olivier)マギー・スミス(Maggie Smith)
       

テンポラリーウィドウ(The Temporary Widow)1930年
勇気ある男(Moscow Nights)1935年
お気に召すまま(As You Like It)1936年
無敵艦隊(Fire Over England)1937年
淑女は離婚がお好き(The Divorce of Lady X)1937年
スパイは暗躍する(Q Planes)1939年
嵐ケ丘(Wuthering Heights)1939年
21日間(21 Days)1940年
レベッカ(Rebecca)1940年
高慢と偏見(Pride and Prejudice)1940年
美女ありき(That Hamilton Woman)1941年
潜水艦轟沈す(49th Parallel)1941年
ヘンリィ五世(Henry V)1944年
ハムレット(Hamlet)1948年(アカデミー主演男優賞)
黄昏(Carrie)1952年
三文オペラ(The Beggar's Opera)1953年
リチャード三世(Richard III)1955年
王子と踊子(The Prince and the Showgirl)1957年
悪魔の弟子(The Devil's Disciple)1959年
寄席芸人(The Entertainer)1960年
スパルタカス(Spartacus)1960年
可愛い妖精(Term of Trial)1962年
バニー・レークは行方不明(Bunny Lake Is Missing)1965年
オセロ(Othello)1965年
カーツーム(Khartoum)1966年
栄光の座(The Shoes of the Fisherman)1966年
素晴らしき戦争(Oh! What a Lovely War)1969年
空軍大戦略(Battle of Britain)1969年
三人姉妹(Three Sisters)1970年
ニコライとアレクサンドラ(Nicholas and Alexandra)1971年
探偵スルース(Sleuth)1972年
レディ・カロライン(Lady Caroline Lamb)1972年
マラソンマン(Marathon Man)1976年
シャーロック・ホームズの素敵な挑戦(The Seven-Per-Cent Solution)1976年
遠すぎた橋(A Bridge Too Far)1977年
ブラジルから来た少年(The Boys from Brazil)1978年
ベッツィー(The Betsy)1978年
リトル・ロマンス(A Little Romance)1979年
ドラキュラ(Dracula)1979年
ジャズ・シンガー(The Jazz Singer)1980年
インチョン!(Inchon)1981年
タイタンの戦い(Clash of the Titans)1981年
バウンティ/愛と反乱の航海(The Bounty)1984年
ジグソーマン(The Jigsaw Man)1984年
ワイルド・ギースII(Wild Geese II)1985年
画家と美女と素敵な生活(The Ebony Tower)1985年
ウォー・レクイエム(War Requiem)1988年