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マハーバーラタMahabharata
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世界最長の詩のひとつ「マハーバーラタ」は、古代インドの二大叙事詩の2番目の作品である。

ヴェーダ(Veda)の編纂もおこなった編者ヴィヤーサ(Vyasa)の作と昔から言われてきたが、
おそらく前8世紀から後4世紀の間に幾人かの作家によって書かれたものと思われる。
叙事詩はふたつの競合する一族の戦いを中心に展開するが、ヒンドゥー教の重要な教義の要点を述べた聖典
「バガヴァッド・ギータ」(Bhagavad Gita)もこのなかに編入されている。

(伝説)         
ハスティナープラの王国はバラタ族のパーンドゥによって治められていた。
パーンドゥは早くに亡くなったため、彼の盲目の兄ドリタラーシトラが王になった。

彼は、まとめてパーンダヴァと呼ばれるパーンドゥの5人の息子を、カウラヴァと呼ばれる自分の100人の息子とともに育てた。

パーンダヴァはその武勇、徳行、民衆からの人気でいとこたちから妬まれていた。

パーンドゥの長男ユディシティラが皇太子に決まると、長男ドゥルヨーダナに率いられたカウラヴァはパーンダヴァを殺そうとたくらんだ。
しかしこパーンダヴァは悪巧みをかぎつけ、逃げ出した。

争いを鎮めるために、ドリタラーシトラは国をドゥルヨーダナとユディシティラに分け与えた。
しかしカウラヴァはこれに不満を抱いた。

彼らはユディシティラをさいころ遊び(賭け事はユディシティラの数少ない弱点のひとつだった)に誘い、掛け金を増やし続けた。
最終的に、ユディシティラは賭け事によって財産、王国、そして兄弟や妻さえも手放してしまった。
パーンダヴァは、12年間追放されることになった。

(クリシュナの役割)
パーンダヴァが戻ってもドゥルヨーダナは王国の返還を拒み、両者は戦争の準備を始めた。
ユディシティラの弟アルジュナは友人クリシュナに支援を求めに行った。
クリシュナはヴィシュヌの8番目の化身である。

ドゥルヨーダナも同じ理由でクリシュナのもとを訪れ、どちらも親類だったので、クリシュナは選択権を与えた。
片方は彼の軍を、もう片方は彼自身を手に入れることができる。
ドゥルヨーダナが軍を、アルジュナがクリシュナを選ぶと、クリシュナはアルジュナの御者になろうと申し出た。

(戦いとその余波)
大戦争がクルクシェートラで始まった。
カウラヴァはパーンダヴァとカウラヴァ双方の大おじにあたるピーシュマに率いられた。

ドゥルヨーダナはカルナのそばでともに戦った。
偉大な戦士でドゥルヨーダナの親友である彼は、パーンダヴァに大きな脅威を与えた。

長期に及ぶ戦いの末、パーンダヴァがクリシュナの助けを得て勝利し、ユディシティラが王になった。
その後パーンダヴァは戦いで多くの人々を殺したことに苦しみ、アルジュナの孫パリクシットにハスティナープラの王位を譲り、
ドラウパディーとともにヒマラヤへ巡礼に出かける。

旅は長くつらいもので、彼らはひとりまたひとりと亡くなり、とうとうユディシティラだけが残された。
最後に彼も亡くなって、天国で家族と再会した。


(バガヴァッド・ギータ)
アルジュナ(Arjuna)は開戦前、敵側に縁者が並んでいるのを見て、彼らと戦うのが恐くなった。
彼はクリシュナ(Krishna)に自分は戦いに参加できないと話した。

それに続く「バガヴァッド・ギータ」と呼ばれる対話の中で、クリシュナは正しい道徳の道「ダルマ」(Dharma)の概念を説明し、
アルジュナが戦士として、利益や結果は顧みず、義務を果たさねばならないということを理解させた。

クリシュナの「ダルマ」の解釈は、ヒンドゥー哲学の古典的テキストとなった。

Myths&Legends(Philip Wilkinson)