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旧訳聖書Vetus Testamentum/Old Testament
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ラテン語の「Testamentum」は契約、つまり神と人類との約束の意。
旧約聖書は本来ユダヤ教の聖典であり、正式の名は「律法、預言書と諸書」である。
キリスト教でも新約聖書とともに正典とされている。

「旧約」の名はキリスト教の立場からの名称であり、「コリント人への第2の手紙(2 Corinthians)」3章14にみえるが、2世紀末頃から新約と区別するために用いられるようになった。
旧約聖書の原典であるヘブライ語正典 (24巻) の最終的決定は1世紀末頃とされている。

律法 (モーセ五書といわれる創世記、出エジプト記、レビ記、民数記、申命記) 、預言書、諸書の3部に大別される。

(1)創世記(Genesis)
(2)出エジプト記(Exodus)
(3)レビ記(Numbers)
(4)民数記(Leviticus)
(5)申命記(Deuteronomy)

預言書は前の預言書 (ヨシュア記、士師記、サムエル記、列王紀) とあとの預言書 (イザヤ、エレミヤ、エゼキエル、12小預言書) とに分れる。

(6)ヨシュア記(Joshua)
(7)士師記(Judges)
(8)サムエル記(上・下)(Samuel)
(9)列王記(上・下)(Kings)
(10)イザヤ書(Isaiah)
(11)エレミヤ書(Jeremiah)
(12)エゼキエル書(Ezekiel)
(13)ホセア書(Hosea)
(14)ヨエル書(Joel)
(15)アモス書(Amos)
(16)オバデヤ書(Obadiah)
(17)ヨナ書(Jonah)
(18)ミカ書(Micah)
(19)ナホム書(Nahum)
(20)ハバクク書(Habakkuk)
(21)ゼファニヤ書(Zephaniah)
(22)ハガイ書(Haggai)
(23)ゼカリヤ書(Zechariah)
(24)マラキ書 (Malachi)

諸書は、三詩歌書(詩篇、箴言、ヨブ記)、巻物 (雅歌、ルツ記、哀歌、伝道の書、エステル記) と残り (ダニエル書、エズラ記、ネヘミア記、歴代志) の3部に分れる。

(25)詩篇(Psalms)
(26)箴言(Proverbs)
(27)ヨブ記(Job)
(28)雅歌(Song of Solomon)
(29)ルツ記(Ruth)
(30)哀歌(Lamentations)
(31)伝道の書(Ecclesiastes)
(32)エステル記(Esther)
(33)ダニエル書(Daniel)
(34)エズラ記(Ezra)
(35)ネヘミヤ記(Nehemiah)
(36)歴代誌(上・下)(Chronicles)


この配列順序はユダヤのマソラ学派 (Masoretic school 500〜900年代) の手によって定められたものであり、ある程度七十人訳旧約聖書に準じる現代語訳 39書のそれとは異なっている。
旧約聖書の内容は相互に密接に連関する歴史と教訓より成る。

選民イスラエルの歴史はアブラハム(Abraham)の召命に始り、モーセ(Moses)の出エジプト、律法の賦与、イスラエル民族によるパレスチナの征服、近隣民族との戦い、
サウル(Saul)とダビデ(David)による王国の建設、南王国の滅亡 (587) を経て、バビロン捕囚(Babylonian captivity)後の祭司国家の発足にいたる約 2000年の歴史であるが、
そこでは神とイスラエル民族の契約、神の救いというテーマが一貫して追求されている。

それゆえ宗教的教訓の第1のものは創造主にして全知全能の唯一神についての教えであり、モーセの十戒(Ten Commandments)には神の言葉として
「汝、われのほかに何者をも神とすべからず」と述べられている (出エジプト記 20・2−3) 。

旧約の特色はこのように現実の歴史のなかにこの神との契約、神による審判と救いが生きて実現することを認めることにあり、さまざまな文学上の形式や多彩な資料の背後には、
いわば預言者的史観ともいうべき態度が存在している。
そしてこの預言者的史観が新約への道を開いているのである。

(The Encyclopedia Britannica)