Top Page


ラーマーヤナRamayana
-------------------------------------------------------------------------

「ラーマーヤナ」は、古代サンスクリット語で書かれたインドの二大叙事詩のひとつであるとともに、ヒンドゥー神話の重要なテキストである。

ここにはアヨーディヤー(Ayodhya)の王子でヴイシュヌ(Vishnu)の化身であるラーマ(Rama)の成長から、彼が国外追放を経て妻シーター(Sita)を
魔王ラーヴァナ(Ravana)の手中から救い出すまでの物語が描かれている。
この叙事詩は主要登場人物の描写を通して、忠誠、王権、献身的愛情、義務といった美徳を激賞している。

(伝説)
アヨーディヤーのダシャラダ王には3人の妻との間に4人の息子がいた。
ラーマ、ラクシュマナ、シャトルグナ、バラタである。
ラーマが長男で、アヨーディヤーの皇太子と目されていた。

まだ年若い頃、彼はラクシュマナとともに賢者ヴィシュバーミトラから弓を習い、成長するとヴィシュバーミトラにミティラーという国に連れて行かれた。
そこではジャナカ王が娘シーターの夫を選ぶための競技会を開いていた。

競技に勝つためには、かつてシヴァ神のものだった大弓を引かねばならない。
唯一その弓を引くことができたのは、シーターに恋をしたラーマだった。

彼はそれを引くだけでなく、壊してしまった。
競技に勝ったラーマは、妻を連れて故郷に戻った。

(ラーマの追放)
ダシャラタ王が息子たちの中から後継ぎを決めねばならないときがきた。
彼は長男のラーマを皇太子にしたかった。
どこをとっても理想的な王子だったからだ。

しかしラーマの義母のひとりカイーケーイーは、ダシャラタにかつての約束を思い出させ、自分の息子バラタを皇太子にし、彼の脅威とならぬようラーマを追放してくれと要求した。
誓いに縛られて、王は泣く泣く長男を14年間森に追放することにした。
ラーマは不平ひとつ言わず父の命令に従った。

シーターとラクシュマナは彼についていくと言い張った。
ダシャラタ王は、ラーマの出発後まもなく悲しみのあまり亡くなった。

このとき王宮を留守にしていたパラタは、アヨーディヤーの王位を継ぐよう呼び戻された。
母親の強欲に愕然としたバラタは、ラーマが正当な王だと主張し、ラーマを連れ戻しに森に行った。

しかしラーマが父王の最後の命令に背くことを拒否したので、バラタは戻って王位を継ぐほかなかった。

彼は父に従うと同時にラーマへの尊敬を示す天晴れな妥協案を考え出した。
バラタはラーマの上靴をアヨーディヤーに持ち帰り、それを王座に置いて、ラーマが戻る日まで、追放された義兄のために自分が摂政として政治を行う象徴とした。

一方、追放された者たちは森に落ち着き、そのつらい生活にもなじんだ。
ラーマとラクシュマナは悪魔たちをしばしば撃退した。

彼らは森に住む苦行者を攻撃し、彼らの命を脅かしたり、祈りや儀式や黙想の邪魔をしたりしていたのだ。
苦行者たちはラーマとラクシュマナの無私無欲な行いに感謝した。

彼らのなかにはラーマが実は神だということに気づいている者もいた。               
ラーマ王子ラーマは弓の名手として知られていた。
弓の腕前のおかげで彼はシーターを娶ることができたし、追放されてからは、森の平和を乱す悪魔たちを負かすことができた。

(シュールバナカー)
ある日、シュールパナカーという女の悪魔がラーマとラクシュマナに劣情を抱き、彼らに言い寄った。
兄弟に拒絶された彼女がシーターを攻撃しようとしたので、ラクシュマナは彼女の鼻を切り落として応酬した。

シュールパナカーは彼らの仕打ちに激怒し、彼女の兄で10の頭をもつランカーの魔王ラーヴァナのもとに行き、仕返しにシーターをさらうようそそのかした。
ラーヴァナはラーマとシーターの気を引くために金色の鹿に化けた悪魔を送り込んだ。

シーターがその鹿を飼いたがったので、ラーマは鹿を追いかけていった。
ラーヴァナははラクシュマナをだましてラーマを追わせ、隠者に化けてシーターに近づき、彼女をランカーへとさらっらた。

(ラーマとハヌマーン)
ラーマとラクシュマナはシーターを捜すうちに、森で猿の神ハヌマーンに出会う。
彼は猿の王スグリーヴァに仕えていた。

スグリーヴァは兄ヴァーリンに王位を奪われ追放の身だった。
ハヌマーンは王位纂奪者を退けるためにラーマに助けを求めた。

スグリーヴァはヴァーリンに決闘を申し込み、決闘でラーマがヴァーリンを殺した。
スグリーヴァは王国を取り戻し、ラーマを助けることに同意する。

ハヌマーンはシーター救出に力を貸す決心をした。
猿の一団が彼女の捜索に送り出された。

多くの冒険ののち、ハヌマーンはシーターがランカーの島の砦に閉じ込こめられていることを知る。
ランカーの位置も、ラーヴァナが悪魔の完璧な軍を率いているという事実も、攻撃を難しくしていた。

ハヌマーンと部下の猿たちは攻撃のために海に橋をかけた。
一連の戦いでラーマ軍はもっとも恐ろしい悪魔たちを倒した。

最後にラーマがラーヴァナを殺し、妻を救出した。
それからラーマ、シーター、ラクシュマナは家に帰った。

ラーマはラーヴァナに囚われていたシーターを受け入れるべきか否か悩んだ。
傷つき苦しんだ彼女は、自分の貞節を証明するために火のなかを無傷で通り抜けてみせたが、アヨーディヤーに戻ると、洗濯屋の不用意な発言からラーマは再び妻を疑った。

彼女は賢者ヴァールミーキの隠居所に避難し、そこで双子の男の子を産んだ。
何年もののち、ラーマは彼らを自分の息子と認め、もう一度火で潔白を証明して戻るよう妻に言った。

何度も貞操を証明させられることに疲れたシーターは、地母神に自分を連れ戻してくれと懇願し、地面が開くと、そのなかに消えた。

Myths&Legends(Philip Wilkinson)