愛のいろ 1988年(昭和63年) ドラマ傑作選

34歳の主婦・神山晶子(大原麗子)は、友達と待ち合わせた画廊喫茶に入って驚く。
なんと自分とソックリな女性の人物画が壁にかけてあるのだ。
もしかしたら五年前に亡くなった、晶子より10歳年上の姉かも知れない。
姉は離婚後、ひとりでイタリアに行き、そこで交通事故に遭い、帰らぬ人となった。
晶子は真相を確かめるべく、店主の黒田みゆき(香川京子)に作者の名前を聞くと、
画家の伊坂徹(三田村邦彦)だという。
住所を教えてもらった晶子は、伊坂を訪ねるが、残念ながら絵の作者は彼ではなく、
彼の兄であった。しかも三年前に、その兄は亡くなっていた。
その画家と姉の間柄はどんなものだったのか、いぶかる晶子に対して、伊坂は
絵のモデルになってくれと切り出す。
伊坂の絵のモデルになることを承知した晶子は、彼のアトリエへ通うようになる。
それ以来、晶子の心の中に、夫以外の男性が入ってきた。伊坂である。
彼と比べると、サラリーマンの夫・裕次(新克利)は、あまりにも平凡に思えるのだった…。
1979年6月3日、東芝日曜劇場で放映された向田邦子脚本のドラマ「愛という字」を題材に、
宮川一郎が翻案・脚色したもの。平凡な主婦が、夫以外の男性にふと抱いた出来心を描く。
このところ主婦役が多くなった大原麗子が、出来心に揺れる等身大の人妻を演じきっている。
夫役には新克利、ヒロインの心に入り込んでくる第三の男を三田村邦彦が演じる。
ドラマ冒頭のタイトルバックには、動揺する心の波紋が、パレットに並ぶ絵の具のイメージで
造形化されており、なかなか面白い。
クリスマスの銀座が舞台。劇中、大原と三田村が、二人でクリスマスソングを歌うシーンがある。
本作は、クリスマスにふさわしい心にしみる物語だ。
(制作)TBS(原作)向田邦子(脚本)宮川一郎
(配役)神山晶子(大原麗子)神山裕次(新克利)伊坂徹(三田村邦彦)黒田みゆき(香川京子)
