赤ひげ   1972年(昭和47年)       ドラマ傑作選

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長崎で西洋医学を修めた青年医師・保本登(あおい輝彦)は、幕府の典医への道が約束されていた。


だが、不潔で見すぼらしい養生所の見習いを命じられたことが気に入らず、ふて腐れていた。


彼は「赤ひげ」と呼ばれる老医師(小林桂樹)にも反発を覚え、徹底的に反抗する。


保本は、暇さえあれば酒を飲み、医者の作業着であるお仕着せも着ず、私服で診療を続けた。


あるとき、保本は「これを着ているとみんな養生所の人とわかって、助けてくれると思っている」
との患者の言葉にハッとする。





その患者は、お仕着せを着た先生なら、すぐに養生所の医者だということがわかり、自分のような
貧しい人間でもためらわず診てもらえると言う。

保本は、お仕着せを着ることに大きな意味があることに、初めて気づくのだった。



山本周五郎原作「赤ひげ診療譚」を、倉本聡の脚本でドラマ化したもの。
長崎帰りのエリート青年医師・保本と貧乏人に尽くす養生所の医師・赤ひげの物語。


保本は、赤ひげの態度に腹を立て、一度は養生所を辞めようとする。

そして、西洋医学の大御所の下で働こうとするが、その金満ぶりにあきれ返ってしまう。

大御所は、次々に西洋の医学書を見せびらかし、これが千両、これが七百両などと
自慢ばかりする。


振り返れば、養生所の赤ひげの慎ましくも誠実な診療の数々。

頑固で口数も少ないが、何よりも患者の救済に最善を尽くそうとする赤ひげの姿に
保本は、長崎がえりを鼻にかけていた自分を恥じるのだった。



本作は、青年医師・保本登と、養生所の医長・新出去定の二人の活躍を軸に、患者たちとの
葛藤や心の交流を描いた人間ドラマが展開される。


最初は去定の考え方に否定的であったが、次第に大きな成長を遂げる保本をあおい輝彦が演じ、
毎回の丁寧な構成と心温まるシナリオによって、多くの視聴者の好評を博した作品である。
   

 
(制作)NHK(原作)山本周五郎(脚本)倉本聡

(配役)新出去定/赤ひげ(小林桂樹)保本登(あおい輝彦)おせん(浜木綿子)冬吉(黒沢年男)森半太夫(有川博)
きぬ(仁科明子)中井良庵(柳生博)谷本寿安(生井健夫)お雪(紅景子)市三(小鹿敦)天野まさを(望月真理子)
おけい(木村夏江)仁吉(松村彦次郎)



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