悪魔の星の下に 1927年(昭和2年) 邦画名作選
病床にある剣術指南・牛窪勘解由(関根達発)の道場に、諸国道場破りの浪人が訪れた。
倅の源十郎が父の身を案じ、自ら相手せんとしたが、到底浪人の敵でないことを聞き、
当時城下にいた剣客・日根野兵之助(月形龍之介)に立ち合いを依頼した。
兵之助はその代償として、牛窪の娘・おさよ(環歌子)を貰うことを条件に引き受ける。
試合の当日、おさよの恋人・真木荘之助は兵之助に代わって浪人を倒そうと出掛けた。
だが既に遅く、試合に勝った兵之助は、おさよを所望する。
シナリオ作家・山上伊太郎の原作を、自らが脚色して映画化したもの。
監督は「雄呂血 1925」で名を高めた二川文太郎が担当。主演は月形龍之介である。
父は娘可愛さに、諦めてくれという。遂に父は殺され、娘は強奪された。
ともに江戸へ向かう兵之助とおさよは、少しも幸福ではない。
父の仇をねらう源十郎と、愛人の身を思う男も、ともに江戸へ向かう。
源十郎は、遂に兵之助と邂逅し、勝負を求めた。
おさよは兵之助が兄の源十郎と果たし合うのを知り、その場へ駆けつける。
だが、おさよは、なぜか兵之助へ味方する気持ちになった。
おさよのお腹には、兵之助の子が宿っていたのだった。
しかし、兵之助は源十郎に父の仇として討たれる運命にあった。
この当時、新国劇の「大菩薩峠」が全国の劇壇を席巻しており、本作のような虚無的な
傾向を持った作品が大衆の支持を集めるようになっていた。
主演の月形龍之介の演技は特に好評で「阪東妻三郎に堂々と対抗しうる者は、月形を置いて
誰があろうと我らに痛感せしめた」(山本緑葉)と当時の批評家に言わせる程であった。
製作 マキノ映画
監督 二川文太郎 原作 山上伊太郎
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配役 |
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日根野兵之助 |
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月形龍之介 |
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真木荘之助 |
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永井柳太郎 |
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牛窪勘解由 |
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関根達発 |
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加宮内匠 |
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尾上松緑 |
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息子・源十郎 |
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天野刃一 |
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浪人・甘糟郷左衛門 |
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川田弘道 |
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娘・おさよ |
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環歌子 |
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お国 |
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鈴木澄子 |