弁護士朝日岳之助   1989年(平成1年)       ドラマ傑作選

直線上に配置


     



ビルの警備員が刺殺され、金庫が破られるという凄惨な事件が発生した。


東京・日本橋で起きたこの事件で逮捕されたのは前科のある塩川という男。

塩川は無罪を主張していたが、執拗な取調べの末、ついに自白する。


有罪は確実かと思われたが、塩川の妹(美保純)が弁護士を連れてきた。

その弁護士の名は朝日岳之助(小林桂樹)。

過去に冤罪で友を亡くした経験を持つ朝日は、法廷で検察に敢然と挑む。

                     (第一話 真実の合奏)



1989年「角川ノベルズ」に掲載された姉小路祐の推理小説「朝日岳之助シリーズ」のドラマ化。


主人公の朝日は、かつて国鉄の職員時代、友人が架線切断事件の犯人として逮捕されてしまった。

「一緒に酒を飲んでいた」と、友人のアリバイを法廷で証言したが、全く聞き入れられなかった。


結局、その友人は判決を待たずして、獄中で病死してしまった。その友人以外にも、誤認逮捕や

冤罪に苦しむ人間はきっといるはずだ。その思いから、朝日は刑事専門の弁護士になったという。


本件で逮捕された塩川は、取り調べの際に犯人は自分だと自白したものの、法廷では無罪を

主張したため、その自白の信用性が争点となっていた。


朝日は「自白以外に犯人を特定する証拠は何一つ無く、その自白も強要された可能性がある」

と主張し、検察側の証拠不十分を指摘して、裁判を有利に進めるのだった。


主人公の朝日の原形は、1968年に小林桂樹が東宝映画「首」で演じた正木ひろし弁護士とされる。

正木は戦前、戦後を通して数多くの冤罪や人権侵害と闘った実在の弁護士として知られている。


ドラマの見せ場は、朝日が思いのたけをぶつける法廷シーンだが、主演の小林桂樹自身もかつて

実際の裁判に通い、弁護士や被告人の様子を観察した経験が生きているという。


共演は、小林桂樹演じる岳之助の息子で、司法試験に備えて勉強中の達也を薬丸裕英が好演している。

ちゃっかりしている現代っ子という役柄で、息の合った父子コンビを痛快に演じている。



(制作)NTV、国際放映(原作)姉小路祐(脚本)中島玲子

(主題歌)竹内まりや「シングル・アゲイン」(作詞作曲:竹内まりや)

(配役)朝日岳之助(小林桂樹)朝日達也(薬丸裕英)塩川奈津子(美保純)塩川邦夫(佐藤仁哉)

灰野昌郎(深水三章)満田隆二(松山照夫)河本検事(大杉漣)永島容子(岩本千春)


直線上に配置