あしたはまっ白 1970年(昭和45年) ドラマ傑作選
国際線スチュワーデスの茜(酒井和歌子)は、搭乗を終えた直後、家からの急な知らせを受ける。
母が亡くなったというのだ。
ひとりでクリーニング店を切り盛りしていた母の葬式が終わると、兄弟は今後の事を話し合う。
店には新しい機械を入れたばかりで、その借金で店をたたむわけにはいかなかった。
長男(山本学)長女(中原ひとみ)らは、いずれも個々の事情から家業をつぐのに背を向ける。
そこで三女の茜は一大決心、スチュワーデスを辞めて店を継ぐことにした。
母の死をきっかけに、スチュワーデスから、突然クリーニング店の女主人になったヒロインが、
周囲の人々に励まされながら奮闘する姿を描く。
茜には信太郎(高橋長英)というエリートの恋人がいたが、婚約もしばらくおあずけ。
最後のフライトでは、小さな貿易会社を経営している亜紀夫(新克利)と知り合う。
茜の店はこうして開業したが、客からの苦情もきたりして、仕事はなかなかうまくいかない。
信太郎と会う時間もなくなり、茜は落ち込んでゆく。
そんな時、裏の家が火事になった。客から預かった大切な洗濯物を燃やすまいと、
茜は火の中に飛び込む。それを助けたのは、茜に好意を持つ亜紀夫だった。
恋人がいながら、茜は亜紀夫にひかれる気持ちを止められなくなっていく。
酒井和歌子はこの当時、 68年東宝「めぐりあい」の初主演で注目され、続いて「若大将シリーズ」に
ヒロインとしてレギュラー出演し、青春スターとして着実にキャリアを重ねていた時期だった。
本作は、クリーニング店の女主人という生活感あふれる役柄で、対照的な二人の男性の間で揺れ動く
女心を細やかに演じるなど、従来の青春ドラマとは一味違った一面を披露している。
(制作)NTV(日本テレビ)(脚本)向田邦子
(配役)茜(酒井和歌子)長男・葉一(山本学)長女・椿(中原ひとみ)二女・百合(宮本信子)
二男・梅次(はしだのりひこ)祖母(飯田蝶子)信太郎(高橋長英)亜紀夫(新克利)