アテンションプリーズ 1970年(昭和45年) ドラマ傑作選
美咲洋子(紀比呂子)は、佐賀の山奥で父一人、娘一人の二人暮らしだった。
亡くなった登山家の兄に、山頂から見る雲海の美しさを聞かされていた彼女は、
父の反対を押し切って、雲海を見るためにスチュワーデスになろうと決心する。
上京して、スチュワーデス訓練所の試験には何とか合格したものの、教官の元で
行われる訓練は厳しく、洋子にとって試練の連続だった。
断トツの劣等生で、英語が特に苦手な彼女だが、寮のおばさんに励まされながら
持ち前の明るさとファイトで、スチュワーデス目指して訓練に励むのだった。
地方出身の落ちこぼれのヒロインがスチュワーデス試験に合格し、厳しい訓練を経て、
やがて国際線のスチュワーデスに成長するまでを描いた物語。
スチュワーデス物語(1983年)にも繋がる「職業訓練根性ドラマ」の元祖とも言える作品である。
本作が放映された1970年は、新鋭ジャンボ機(ボーイング747)が導入され、海外旅行ブームに
火が付き始めた時期だった。
日本航空は、会社のPRとスチュワーデスの知名度アップ、そして海外旅行客の増加を狙い、
ドラマの制作に全面協力。森英恵デザインの濃紺の制服人気も相まって、ドラマは大ヒット。
放映当時には「日航スチュワーデス」の求人人気が高騰するなど、本作は社会現象にまでなった。
当時は、高度経済成長の真っ只中だったが、女性はまだ、希望の職種になかなか就けなかった時代。
ドラマは、手の届かない夢の職業に思いを馳せる、そんな時代背景を投影していたのである。
(制作)TBS、東宝(原作・脚本)上條逸雄
(配役)美咲洋子(紀比呂子)田村早苗(范文雀)広村綾子(高橋厚子)榊原やよい(麻衣ルリ子)
香川妙子(皆川妙子)南啓子(黒沢のり子)関山百合(関口昭子)三上教官(佐原健二)
堤健二(山内賢)寮のおばさん(千石規子)美咲洋子の父(藤田進)
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