彩(あや)の女 1980年(昭和55年) ドラマ傑作選
東京駅構内の喫茶店。久しぶりに丹後・峰山の母のもとへ帰る佳奈(山本陽子)は、
呉服店を営む伯母の店の上客である結城章一郎(あおい輝彦)と会っていた。
都内のホテルで結城家の知人の叙勲パーティがあり、呉服店で働く佳奈は、故郷へ
帰るついでに、祝いの品物を届けるように頼まれたのだった。
同じ喫茶店内で、元(田村亮)は婚約者・香子(樋口可南子)の父・嘉良(高橋昌也)
と落ち合っていた。
広告会社に勤務する元は、仕事で大阪へ出張する身だが、奈良の実家へ立ち寄って
結婚の日取りについて、両親と話し合うつもりだった。
一方、建築事務所を営む嘉良も、仕事の関係で京都へ向かうので、同じ新幹線に
乗る約束だった。
奈良へ立ち寄って頼まれた用事を済ませた佳奈は、東大寺の境内で元とばったり出会う。
元は「東京の喫茶店で会いましたね」と話しかけ、一緒にお茶を飲もうと誘う。
佳奈は警戒して断り、丹後の実家へ急いだ。ところが待っているはずの母親の姿はなかった。
同じころ嘉良は京都の宿で一か月ぶりに愛人と会っていた。
相手は、丹後から出て来た佳奈の母せい子(乙羽信子)だった。
1973年(昭和48年)月刊誌「文藝春秋」に連載された平岩弓枝の同名小説のドラマ化。
妻子ある男を愛する母と、婚約者のある青年と恋に陥った娘…。
京都・丹後と東京・浅草を舞台に、哀しい愛と実らぬ恋に苦悩する母娘の姿を描く。
山本陽子といえば、和装が似合う清楚な美人で、本作ではイメージそのままの役柄を好演している。
だが、芸能誌のインタビューによれば、山本の趣味は、乗馬にゴルフに麻雀。
家では、ジーンズ姿でとび回り、左右違ったサンダルで外出することもザラにあるという。
彼女ほど虚像と実像が違う女優も珍しいのでは、というウワサも。
(制作)フジ(脚本)平岩弓枝
(主題歌)千葉紘子「冬の女」(作詞:山川啓介、作曲:伊部晴美)
(配役)桟敷佳奈(山本陽子)桟敷せい子(乙羽信子)末次元(田村亮)福原嘉良(高橋昌也)
福原香子(樋口可南子)結城章一郎(あおい輝彦)結城三帆子(田坂都)結城武吉(芦田伸介)