鮎のうた   1979年(昭和54年)       ドラマ傑作選

直線上に配置




琵琶湖のほとりで生まれたあゆ(山咲千里)は、幼いころ母と死別。

気の弱い父と、見栄っ張りの義母に育てられているが、気が合わない。

「琵琶湖の鮎は川を遡って初めて大鮎になる」と言い残した母が忘れられないのだ。


女学校を中退して、母が働いていた蚊帳工場へ勤めるが、平凡な日々に飽き足らない

あゆは、母の残した言葉通り、さらに大きくなろうと大都会、大阪船場に向かうのだった。



大正末期から戦中戦後を背景に、幼くして母と死別したヒロインが、大阪船場の

糸問屋で苦労を重ね、やがてそこの女主人になるまでを描く。




24代目の「朝の顔」に選ばれた山咲千里。歴代ヒロインの中でも最年少の17歳。

若鮎のように初々しく清楚な感じの日本的美人であるのと、ものおじせずに若さをぶつける

積極さが買われ、また「上方の味」には欠かせない関西弁が堪能なことが決め手となった。


父は映画・テレビの監督、母は元女優という芸能一家に育った山咲だが、ヒロインに決まると

家族ぐるみで近所づきあいをしていた俳優の佐野浅夫に師事。

女優としての心構えや演技指導を受けてきた。


もう一つの見どころは、女らしく成熟した吉永小百合があゆの母親役で登場すること。

あゆが8歳の時、過労から風邪をこじらせ亡くなるという薄幸の女性を演じる。

ただし出番はあゆの回想シーンにだけ。船場に出てくじけそうになるあゆを勇気づける。


また、あゆの女学校の先生に木村功、水産試験場長に藤岡琢也、ちりめん工場主に佐野浅夫、

あゆの父に高田次郎、あゆの義母に馬渕晴子、船場の女主人に三益愛子ほか、大阪ドラマに

ふさわしいミヤコ蝶々、土田早苗などベテラン演技陣が勢ぞろいしている。



(制作)NHK(脚本)花登筐

(主題歌)小倉千波「わたしの旅立ち」(作詩作曲:長野たかし)

(配役)浜中あゆ(山咲千里)母・すず(吉永小百合)父・保太郎(高田次郎)義母・節子(馬渕晴子)

木島先生(木村功)市川秀一(宮崎達也)原田あや(三益愛子)田崎秀之助(藤岡琢也)

今井甚之助(佐野浅夫)鈴木ちえ(ミヤコ蝶々)八田久美子(土田早苗)語り(フランキー堺


直線上に配置