年末時代劇スペシャル「忠臣蔵」   1985年(昭和60年)       ドラマ傑作選

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元禄十四年、勅使餐応の大役を申し渡された赤穂の浅野内匠頭(風間杜夫)は、

指南役・吉良上野介(森繁久禰)からの度重なる侮辱にたえかね、刃傷に及ぶ。

幕府裁定で内匠頭は即刻切腹、お家は断絶となり、その悲報が赤穂の城代家老・

大石内蔵助(里見浩太朗)の許に届く。


赤穂藩士たちは内蔵助に、徹底抗戦か、仇討ちかと詰め寄る。

が、内蔵助の出した答えは公儀への城明け渡しであった。

内蔵助は、長年連れ添った妻と子供に別れを告げ、赤穂を離れ、江戸に上る。


やがて名を変え、職を変えて待機していた赤穂の浪人たちは、内蔵助の許に集結。

死装束に身を固めて、雪の積もる中を、吉良邸に討ち入るのであった。





討ち入りの目的が、主君の仇討ちというより、幕府の御政道の過ちを正すための行為
として位置付けられており、従来の忠臣蔵に新解釈を加えた意欲作となっている。


すなわち吉良が浅野に賄賂を要求して、様々な迫害をした事が原因となった事件なのに
幕府が殆ど裁判らしい裁判もしないで、一方的に浅野を処分して済ませてしまった。


そうした納得し難い裁きによって、藩を潰されるのは武士としての恥辱であり、
命がけの異議申し立てをしなければ、武士の意地が立たないという新解釈である。


本作は、時代劇のビッグスター・里見浩太朗が、幕府から受けた屈辱に歯をくいしばり、
じっと耐える大石内蔵助を重厚に演じ、さすがの貫禄と存在感を示している。


吉良上野介に、森繁久彌が扮しており、底意地が悪く、実に憎々しげな仇役を演じている。

単に悪役に徹しているだけでなく、やはり高家筆頭の雰囲気を醸し出しながら演じており、
その独特の気品と存在感は、さすが名優と思わせるものがある。


また堀内孝雄が切なく歌いあげる主題歌が要所ごとに流れ、涙を誘う一作となっている。



(制作)日本テレビ、ユニオン映画、東映(脚本)杉山義法

前篇「君、怒りもて 往生を遂ぐ」(12/30) 後篇「我、一死もて大義に生く」(12/31)

(主題歌)堀内孝雄「憧(あこが)れ遊び」(作詞:小椋佳、作曲:堀内孝雄)


(配役)大石内蔵助(里見浩太朗)大石リク(中野良子)大石主税(坂上忍)浅野内匠頭(風間杜夫)
瑤泉院(多岐川裕美)吉良上野介(森繁久彌)上杉綱憲(中村橋之助)色部又四郎(丹波哲郎

堀部弥兵衛(加藤嘉)堀部安兵衛(勝野洋)片岡源五右衛門(竜雷太)赤垣源蔵(あおい輝彦)間喜兵衛(高品格)
多門伝八郎(竹脇無我)垣見五郎兵衛(西田敏行)徳川綱吉(夏八木勲)畳屋万五郎(東八郎)


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