大地の子 1995年(平成7年) ドラマ傑作選
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松本勝男(上川隆也)は、敗戦時の満州で祖父と母を失った日本人戦争孤児である。
勝男は人買いに捕まり、中国人農家に売られて酷使される日々を送っていた。
度重なる虐待に耐えかねて逃げ出した彼は、小学校教師の陸徳志に助けられる。
子供のない陸徳志夫妻は、勝男に一心という名を与え、実の息子のように育てる。
立派な青年に成長した一心だったが、彼の背後に文化大革命の嵐が押し寄せる。
一心は、身に覚えのないスパイ容疑をかけられ、労働改造所へ送られてしまう。
5年後、養父・陸徳志の命がけの嘆願により、ようやく彼は釈放された。
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やがて一心は、日中共同事業である製鉄所建設チームの一員として働くことになる。
その事業の中で彼は、生き別れた父・松本耕次(仲代達矢)と運命的な出会いをする。
山崎豊子が中国での長期取材をもとに書き上げた同名小説のドラマ化。
中国残留孤児の半生を通じて、戦争の悲劇と国家のエゴを描いた大作である。
ドラマは、2万人のエキストラを動員して、128日間の中国ロケを敢行。
激動の戦後史をリアルに再現して、残留孤児・一心の苦難の半生を重厚に描いた。
過去に、文化大革命の実態をこれほど赤裸々に伝えた番組はないとされる。
一心の養父母をはじめ、彼をめぐる人々の愛もテーマのひとつで、中国の俳優が
それを滋味深く表現し、戦後の歴史に残る記念碑的なドラマとなった。
(制作)NHK、中国中央電視台(原作)山崎豊子(脚本)岡崎栄
(配役)陸一心/松本勝男(上川隆也、少年期:笠原秀幸)松本あつ子(永井真理子、幼少期:新井裕紀子)松本耕次(仲代達矢)
松本タキエ(田中好子)松本耕平(牟田悌三)陸徳志(朱旭)王淑琴(呂中)袁力本(馮国強、少年期:張利敏)江月梅(蒋雯麗)
趙丹青(盖麗麗)楊祐民(銭学格)冷珠(鄭振瑶)馮長幸(廖京生)陸秀蘭(高常林)陸燕々(張宇非、幼少期:趙娃)
黄書海(薄宏)紅谷擁(山下輝彦)工場長(角野卓造)狭間信一(渡辺文雄)斎木吾郎(児玉清)稲村嘉三(西村晃)柿田潔(宇津井健)
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