大都会   1976年(昭和51年)       ドラマ傑作選

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城西署に派遣されてきた刑事の黒岩(渡哲也)は、寡黙だが正義感の強い男。


両親がいないため、妹の恵子(仁科明子)の親代わりとなって支えている。

彼女には、兄が刑事だという理由でやくざに暴行された暗い過去があった。


ある日、マンションの一室で、殺人事件が起きる。

容疑者は、小沼三吉(石橋蓮司)という暴力団員だった。


城西署の丸山刑事(高品格)と黒岩がこの事件を担当。

小沼には妹がおり、名前を元子(水沢アキ)と言った。




丸山刑事が、元子を会社に訪ね、呼び出す。

公園に呼び出された元子は、小沼とは五年前に父親の葬式で会ったきりだと言う。

もともと縁が薄かったが、今はもう、関係がないと元子はかたくなだった。


それに元子はもうすぐ、会社の重役の息子と結婚する予定だと言う。

「もう勤め先に来ないでください!」と泣き叫ぶ元子。


だが、黒岩と丸山は元子を尾行するしかない。必ず、小沼が接触してくるはずだ。

元子は会社帰りに、婚約者と会っていた。まじめで、やさしそうな男性だった。


兄が、妹の幸せを壊す…。元子の姿と、妹の恵子の姿が黒岩の中で重なった。




東京・新宿「城西署」を舞台に、暴力団担当の刑事と新聞記者の活躍を描いた社会派ドラマ。


主人公・黒岩(渡哲也)は、捜査一課ではなく暴力団相手の四課担当、派手な銃撃戦もなく、
人間ドラマが主軸となっている。


出演は渡哲也、石原裕次郎の他に、中条静夫、高品格、佐藤慶、柳生博といった渋い役者陣で
いたずらに喋らず、寡黙な大人の演技を披露している。


主演の渡は、1974年(昭和49年)大河ドラマ「勝海舟」に出演中に急病で途中降板した。

その後も病状は思わしくなく、病気回復を待って、1976年一月に本作はスタートしたが、
渡にとって二年ぶりのテレビ出演となった。


本作は、平均15%の視聴率で、その年の八月にいったん終了。

翌年1977年四月から第二シリーズとして再開。石原が記者から医者になっただけで設定は
前作とほぼ同じだったが、様相は一変した。


逃走する犯人が火炎放射器でパトカーを次々と焼き払うなど、社会派ドラマからアクション
ドラマに変身したのである。

車の爆破シーンを渋谷の住宅街でやってのけ大騒ぎになるなど、過激なロケが話題になった。

「ドンパチ」をエスカレートさせたため、制作費が嵩んだが、視聴率も20%台に上昇した。
   

 
(制作)日本テレビ、石原プロ(脚本)倉本聡

(配役)黒岩頼介(渡哲也)黒岩恵子(仁科明子)滝川竜太(石原裕次郎)深町行男(佐藤慶)松川純一郎(宍戸錠)
日高明(寺尾聡)九条浩次(神田正輝)丸山米三(高品格)加賀見乙吉(中条静夫)高木吾一(草薙幸二郎)

大内正(小野武彦)一色光彦(玉川伊佐男)木内(柳生博)平原春夫(粟津号)由比大三郎(北浦昭義)大久保昭彦(平泉征)
新井(山根久幸)吉乃(浜田晃)清水英子(新井春美)中川元子(水沢アキ)小沼三吉(石橋蓮司)



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