誰にもわからない 1966年(昭和41年) ドラマ傑作選
劇団「自由座」の研究生・鳴海夏生(佐久間良子)は、幼馴染の
劇作家・中平(高橋昌也)を敬愛していた。
彼は劇団の演出をしている青年だが、夏生はどうやらこの中平に
思いを寄せているようだ。
しかし中平は、夏生に対しては兄妹愛しか持っていそうもない。
あまり親しすぎて、好きだの惚れたのという感情はもてないのだった。
ある日、信州の実家からの仕送りが途絶えてしまった夏生は、生活費を
稼ぐために、同期生の瓜生とも子(大空真弓)と赤坂でバー勤めを始めた。
赤坂といっても場末の三流バーだったが、やがて彼女たちの素人っぽさが
客に受け、店の雰囲気も高級なものに変わっていった。
この当時、佐久間良子は東映のトップスターだったが、映画界斜陽とともに、
全面的に任侠路線を敷いた東映では、彼女の出番は少なくなってしまった。
そこで、仕事の多いテレビドラマのほうに活躍の場を求めるようになった。
以降は、TBS「東芝日曜劇場」を中心に、多数のテレビ出演を果たしている。
本作は、その出演第一作目であり、佐久間は女優を志すひたむきな劇団員の役柄で、
演劇と愛のはざまで揺れる女心を細やかに演じている。
鼻っ柱の強い同期生役を演じた大空真弓は、テレビドラマでは佐久間の大先輩。
1964年、東芝日曜劇場「愛と死をみつめて」では、難病で早逝したヒロインを演じ、
社会現象となる大反響を巻き起こした。
このあと前後して、佐久間は平幹二朗と、大空は勝呂誉と電撃結婚。
ファンから祝福されたものの、やがて二人ともそれぞれ離婚してしまった。
スター同士の愛の結末は「誰にもわからない」ということか。
(制作)TBS(原作)由起しげ子(脚本)福田善之
(配役)鳴海夏生(佐久間良子)瓜生とも子(大空真弓)中平萄三(高橋昌也)
波川女史(山岡久乃)西長九造(山形勲)