沿線地図 1979年(昭和54年) ドラマ傑作選
高校三年生の松本志郎(広岡瞬)は大学受験を控え、勉強ばかりの日々を送っていた。
ある日電車内で、いきなり女子高生の藤森道子(真行寺君枝)に声をかけられる。
初対面の二人は、すぐに打ち解けて近くのコーヒースタンドへ。
店の前の路上で、二人でコーヒーを飲んでいると、店員に「通行の邪魔になるので
歩道の真ん中で飲まないで下さい」と言われる。
素直に道の端に移動する志郎。ところが道子は歩道の真ん中から動こうとしない。
そんなことから口論になり、志郎は「あなたって、規則とかに、すぐ従っちゃうんでしょ?
勉強なんかもできて、ビクビクそうやって一生送っちゃうんでしょ?」と言われてしまう。
志郎は、何言うんだよ、と反論しようとしたが、どうやら図星だった。
社会問題となっていた若者の非行化を背景に見据え、高校生男女の家出、同棲をテーマにした衝撃的なホームドラマ。
かたやエリート銀行員の一人息子、かたや下町の電器店の娘、この二人が恋に落ち、駆け落ちしてしまう。
いい子だと思っていた子供の突然の反乱にとまどい、右往左往する二組の両親の姿が描かれる。
脚本は「岸辺のアルバム」の山田太一。「岸辺のアルバム」では、一家の悲劇の顛末が描かれたが、
本作「沿線地図」では、住む世界の違う二つの家族の危機と対立となった。
図式としては異なっているが、正常に見えて其の実、些細な出来事でガラガラ崩れる家族関係を描いて
家族とは一体何かと視聴者に問いかける、という点では共通している。
(制作)TBS(脚本)山田太一
(主題歌)フランソワーズ・アルディ「もう森へなんか行かない」
(配役)松本誠治(児玉清)松本季子(河内桃子)松本志郎(広岡瞬)松本謹造(笠智衆)
藤森麻子(岸恵子)藤森茂夫(河原崎長一郎)藤森道子(真行寺君枝)