新諸国物語 笛吹童子 1954年(昭和29年) 邦画名作選
時は室町時代、応仁の乱の頃、丹波国・満月城は、野盗じみた武将に攻められ、城主は自害する。
城主に二人の息子がいた。武芸に秀でた兄・萩丸と、笛の名手で笛吹童子と呼ばれる弟・菊丸である。
兄の萩丸は、悪に敢然と立ち向かおうとするが、弟の菊丸は戦を厭い、兄と別れて都で暮らし始める。
だが、父の仇を討たんとした萩丸は、悪党跋扈する城に乗り込むが、奸計に落ちてしまうのだった…。
原作の北村寿夫「新諸国物語」は、昭和27年から、NHKラジオで放送され、当時の子供たちに絶大な
人気を博した「白鳥の騎士」「笛吹童子」「紅孔雀」など、七つの物語からなる冒険活劇である。
後発の映画会社である東映は、興行低迷を打破する策として、昭和29年、週二本立て興行に踏み切る。
笛吹童子は、次作の紅孔雀と共に、子供向けを主眼とした短編の時代劇で、二本立ての添え物だった。
が、当時の子供たちから熱狂的な人気を博す大ヒットとなり、以後の東映黄金時代を築く出発点となった。
この映画で、大ブレイクを果たした東千代之介と中村錦之助は、一躍スター街道を駆け上ることになる。
シリーズの人気の一つは「ヒャラリヒャラリコ」で始まる北村寿夫作詞、福田蘭童作曲の主題歌だった。
子供たちはもちろん、いい大人までが口ずさむ当時の大ヒットメロディとなった。
製作 東映
監督 萩原遼 原作 北村寿夫
(笛吹童子 ミチル児童合唱団)