午後の恋人   1979年(昭和54年)       ドラマ傑作選

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ヒロインの明子(若尾文子)は、七歳年上の夫・信吉(高橋昌也)がいる四十歳の専業主婦。

二人の間には子供がなかったが、東京郊外の高級住宅街に住み、何不自由ない生活を送っている。


そんなある日、出張から帰宅した信吉は、突然明子に離婚してほしいと申し出る。

聞けば、信吉には千枝子(樹れい子)という愛人がいて、このたび妊娠を告げられたという。


頭に来たものの、それを受け入れて独り身となった明子は、コーヒー専門店の経営に乗り出す。


あるとき、明子は年下で長唄の若き跡取りである樋口浩之(市川海老蔵)と出会い、恋に落ちる。





作者の平岩弓枝は「人生を一日にたとえると、午後というのは、ちょうど中年にあたる」と語る。


初老の男性の魅力については、よく小説の題材となるが、中年の女性の話は、これまで殆どなかった。

だからそう、この年代の女性に、いささかの輝きを与えたい、と思ったことが執筆のきっかけという。


因みに、本作が放映された1979年は、作者47歳、主演の若尾文子もまた、47歳だった。


本作は、1959年(昭和34年)に発足したフジテレビの開局20周年記念作品。

若尾は、旦那が浮気して離婚した途端、三人の男性から言い寄られる役どころ。


従来の平岩作品のやや重苦しい内容とは一転、明るくテンポの良い恋愛コメディに仕上がった。

共演には、歌舞伎界のプリンス・市川海老蔵(十代目)を迎え、さらに華を添えている。



(制作)フジテレビ(脚本)平岩弓枝

(主題歌)中島みゆき「根雪」(作詞作曲:中島みゆき)

(配役)佐伯明子(若尾文子)佐伯信吉(高橋昌也)樋口浩之(市川海老蔵)坪井東作(山村聡

篠原光一(津川雅彦)小村千枝子(樹れい子)秋山源太郎(西村晃)宇刈乙也(橋爪功


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