はまぐり大将   1970年(昭和45年)       ドラマ傑作選

直線上に配置




70歳の正介(藤岡琢也)は、工場廃液が注ぎ込み、埋め立てが進む東京湾を

見つめて「貝が住めねえんじゃ、貝屋はあがったりだぜ」と叫んだ。


正介は、10歳から天秤棒をかついで、貝を売り歩く行商から叩き上げ、

今では従業員30人をかかえる「貝正」の責任者なのだ。


正介に代わり社長の座を継いだ長男(小泉博)と、営業部長の四男(山田吾一)が、

商売を拡げたいと言い出した。




貝だけでは時代遅れだから、塩コンブや干しイカなど幹物を扱おうと言う。

それを聞いて激怒する正介であった。



70歳の老人に扮した藤岡のべらんめえ老人が放送開始とともに好評を博している。


藤岡自身も、しごく機嫌がいいが、ことのほかご満悦なのは、山本直純の曲で

藤岡自身が歌っている主題歌が受けていること。「ひょっとすると歌手の才能も」

と怪気炎をあげている藤岡には、息子役の小泉博、山田吾一らも首をすくめている。


藤岡が演じる主人公の正介は、下積みから叩き上げて一代を築いたモーレツ人生の男。

それだけに、中途半端なやり方で、要領よく世渡りする生き方は、断じて許せない。


息子たちは、新規事業を立ち上げて、手広く商売しようと提案するが、正介は激怒する。


儲けたいという息子たちの意見は正論だが、現代の合理主義一辺倒の生き方が

気に入らない正介にも一理はある。「肝っ玉母さん」ならぬ「肝っ玉じいさん」が、

その存在感を見せつけるイキのいい作品だ。



(制作)NTV、東宝(脚本)井上和男、隆慶一郎、斉藤良輔、須崎勝弥、向田邦子

(主題歌)藤岡琢也「はまぐり大将」(作詞作曲:山本直純)

(配役)阿刀田正介(藤岡琢也)長男・嘉一(小泉博)妻・絢子(市原悦子)四男・智彦(山田吾一)

妻・澄子(池田和歌子)久美子(秋山ゆり)加代(光本幸子)郁子(永野裕紀子)雄二(山本善朗)


直線上に配置