花ホテル 1983年(昭和58年年) ドラマ傑作選
杏子(山本陽子)は、六甲山頂にオープンする花ホテルのオーナー。
彼女は二度の結婚に失敗、今は独身だ。
今回ホテルのマネージャーとして三樹(名高達郎)という男がやって来た。
女性のマネージャーを希望していた杏子だったが、しばらく様子を見ることに。
杏子の友人の麗(松あきら)が、クラブ歌手として働くことになったその夜、
思わぬ事件が起こった。
何者かがネコを睡眠薬で眠らせ、ベランダから吊り下げるなどのいやがらせを
はじめたのだった。
神戸・六甲山の山頂にある「花ホテル」を舞台とした平岩弓枝ドラマの新シリーズ。
山本陽子ふんするヒロイン杏子は、夫と別れ、ホテル経営に賭けるキャリア・ウーマンだが、
物語は毎回、謎の事件や滞在客を絡ませながら、彼女をめぐる複雑な人間模様が描かれる。
ドラマの第一回は、オープンまであと数日という準備のところから始まる。
マネージャーとして杏子の片腕となる三樹や、杏子の前夫(山本学)など、今後のドラマ展開
にかかわる人物が次々と出そろう。
だが、ここへいきなり睡眠薬を飲まされた数匹のネコが客室やロビー、料理室などに放置される
という何者かのいやがらせが発生する。
登場人物が要領よく紹介されたうえでの、この不気味なミステリー仕立ては、ヒロインと
周囲の人物たちとの過去のかかわりの複雑さを思わせ、同時にヒロインの前途多難も予想させる
興味しんしんの滑り出しとなっている。
なお、平岩弓枝の原作では、コートダジュールが舞台となっているが、ドラマ化にあたっては、
六甲山に舞台を変えている。
港町神戸を望む六甲山は、エキゾチックなリゾート地としても知られ、松あきらの歌う主題歌
「花ホテル」と相まって、しゃれた雰囲気のドラマに仕上がっている。
(制作)フジテレビ(脚本) 平岩弓枝
(主題歌)松あきら「花ホテル」「愛のゲーム」(作詞:岩谷時子、作曲:大野雄二)
(配役)朝比奈杏子(山本陽子)佐々木三樹(名高達郎)松平喜一郎(益田喜頓)浜口啓太郎(大和田伸也)
春川万里(葦原邦子)松平大吉(左とん平)阿部藤雄(山本学)藤原麗(松あきら)藤原京子(杉村春子)