はね駒 1986年(昭和61年) ドラマ傑作選
明治23年の秋、福島県二本松は名物の提灯祭りで賑わっていた。
祭りの雑踏の中に、瞳を輝かせて山車(だし)に見入る少女がいた。
橘りん(斉藤由貴)14歳。おてんばな彼女は祭囃子に興奮して、
山車を追いかけるが、突き飛ばされて転んでしまう。
通りがかった女学校教師・松浪(沢田研二)が抱き起し介抱した。
その松浪の影響を受けたりんは、女学校進学を決意するのだが…。
りんは親の決めた許婚がいたが、結婚を自ら破談にしてしまう。
父親に一度は勘当されながらも、仙台の東北女学校の試験に合格、
給費生として寄宿生活を送ることになる。
恩師松浪の助力もあり、苦学して優秀な成績で卒業したりんは女学校の教師となる。
その後、家族と共に上京、女学校時代に知り合った実業家・源造(渡辺謙)と結婚。
子供も生まれ幸せな生活が続くかと思われた矢先、源造が商売に失敗し、借金漬けの毎日が続く。
働くことを決意したりんは、新聞社の見習い記者として働きはじめる。
持ち前の情熱と行動力で、女性ならではの視点から書いた記事が評価されるようになり、
第一線で活躍する女性記者として成長してゆく。
女性が働くこと自体が難しかった明治大正期に、男顔負けのキャリアウーマンとして
活躍した主人公を斉藤由貴が演じている。
斉藤は歌手出身だが、福島弁のセリフは全部テープに吹き込んでマスターしたという
芸熱心なところがある。
さらに彼女は、デビュー三年目にして回ってきた朝ドラの大役に全力投球するため
目下、歌手活動は「開店休業」を宣言している。
そんな彼女のドラマに賭ける意気込みが、視聴者から多大な支援を受け、放映一週目で
いきなり40%の視聴率をはじきだし、たちまち怪物番組化してしまった。
ヒロイン「おりん」が、超怪物と言われた「おしん」を超えるのも時間の問題か!?
(制作)NHK(原作)吉村昭(脚本)寺内小春
(配役)橘りん(斉藤由貴)橘弘次郎(小林稔侍)橘やえ(樹木希林)橘徳右衛門(山内明)橘こと(丹阿弥谷津子)
橘嘉助(柳沢慎吾)橘みつ(小野ゆかり)橘彌七(ガッツ・石松)松浪毅(沢田研二)小野寺源造(渡辺謙)高木みどり(美保純)