遙かなる山の呼び声   1980年(昭和55年)  邦画名作選

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未亡人の民子は、息子を育てながら牧場を切り盛りしている。

ある冬の嵐の晩、一夜の宿を求めてひとりの男が訪ねてきた。
男は納屋に泊まり、牛のお産を手伝って、翌朝に出ていった。

そして夏、再び男が現れ、働かせてほしいと民子に頼んできた。
だが田島耕作と名乗る男は、過去を一切語ろうとはしなかった…。



山田洋次が原作監督。警察に追われる男と、牧場で暮らす母子との交流を描く。

映画のタイトルは、西部劇の傑作「シェーン」の邦題をそのまま転用したもの。

舞台となるのは、北海道東部に広がる酪農の町・中標津。
殺人の罪を背負って逃走中の男、田島耕作がある牧場の世話になる。


彼を温かく受け止めるのは、息子を育てながら、夫の残した土地を守る風見民子。
心傷ついた者同士が身を寄せ合うのだが、耕作はやがて来るべき別れを覚悟する。

ラスト、耕作が護送される列車に、民子が乗り込んできて彼にハンカチを手渡す。
そのハンカチを握りしめて、耕作は涙を見せる。男泣きに泣きじゃくるのである。

手渡された黄色いハンカチには、民子の深い想いがこめられていたのだ。
耕作を、ひたすら待ち続ける人のいる未来を暗示して、映画は終了する。



 


  製作  松竹

  監督    山田洋次

  配役    田島耕作 高倉健 勝男 武田鉄矢 虻田太郎 ハナ肇
      風見民子 倍賞千恵子 佳代子 木ノ葉のこ 近藤 渥美清
      風見武志 吉岡秀隆 田島駿一郎 鈴木瑞穂 獣医 畑正憲

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