日蔭の女   1979年(昭和54年)       ドラマ傑作選

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大学病院で働く良太(田村亮)が、その女性を初めて見たのは、同僚の啓介(岡本信人)に

誘われて、彼の故郷である沖縄の「ひめゆりの塔」へ行ったときだった。


啓介の妹・照奈(坂口良子)の案内で、小浜島へ行った良太は、そこでもその女性と出会った。


旅を終え、東京の病院に出勤した良太は、三たび、その女性を見かけた。

麻酔医として病院で働くというその彼女は、信子(山本陽子)と名乗った。






物語の冒頭、沖縄を訪れた青年医師が、ひめゆりの塔や小浜島で、偶然にもヒロインと何度も

出会うシーンが描かれるが「世の中、見えない糸でつながっている」と思わせる設定だ。


東京へ戻った青年医師・良太は、ヒロインの麻酔担当医と同じ病院に勤務することになり、

彼は当然のことながら、その麻酔医の信子に愛を感じ始める。


ところが、その信子は、ある代議士の二号の娘だった。

自立する女を目指して医師になったものの、その一方で実業家の愛人としての道も選んでしまう。


良太を愛しており、彼と添い遂げたいと全身で思いながらも、心のどこかであきらめていた。

日蔭に生まれ、日蔭に育った女は、幸せを期待するのにも、どこか臆病になっていた。


本作は、暗い出生の影を指すヒロインが、そのコンプレックス、不安を振り払って、自ら自立し

真実の愛に目覚められるかがテーマとなっているようだ。



(制作)フジテレビ(脚本) 平岩弓枝

(主題歌)上田知華「ステンド・グラス」(作詞:竜真知子、作曲:樋口康雄)

(配役)高原信子(山本陽子)高原三津江(乙羽信子)岡崎良太(田村亮)岡崎孝太(児玉清

五井啓介(岡本信人)五井照奈(坂口良子)箕原教授(根上淳)北村広志(神山繁)


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