緋ざくら大名     1958年(昭和33年)    邦画名作選
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北条5万石の鶴姫(大川恵子)は、親が一方的に決めた縁談を嫌がって屋敷を飛び出す。

追手の浪人達に追われ、姫が逃げこんだのは浅草の芝居小屋。
そこで姫は、若侍の千代三郎(大川橋蔵)に助けられる。

義侠心から助けたものの、名も家も言わず、帰りたがらない姫に千代三郎は困り果ててしまう。



市井に飛び出した若殿様と、同じく縁談を嫌い逃げ出した御姫様との運命の出会いを描く傑作。
恋あり剣あり笑いあり、橋蔵と恵子の大川コンビが花のお江戸で繰り広げる明朗娯楽時代劇。


大川恵子は、古典的な美人タイプの瓜実顔で、高貴な家柄の姫君が似合いそうな
気品のある顔立ちをしていた。

1956年(昭和31年)東映ニューフェイスとして入社、初めは東映東京で現代劇に
出演していたのだが、時代劇向きなので、途中で東映京都に転勤となった。

今回の彼女の役柄は、親の決めた縁談を嫌がって家出した世間知らずのお姫様。

一方、そんな姫を助けた若侍(橋蔵)は、桑名11万石の次男坊・千代三郎だった。
彼もまた、堅苦しい大名生活を嫌って家出し、芝居小屋で小遣い稼ぎをやっていたのだ。

お互い相手の素性を知らないまま、長屋で暮らすのだが、やがて二人に恋心が芽生える。
だがお互いに、それぞれ別の結婚相手がいるため、二人は苦悩し葛藤するのだった。


昭和30年代当時は、親の決めた縁談に子供は逆らえないという社会的慣習が根強く残っていて、
それに対する若者の抵抗や反感というものが、この手の映画の下支えになっていたようだ。

そういった浮世の習いを題材として、東映はこの時期に「鳳城の花嫁」や「若君千両傘」など、
縁談が嫌で市井に逃げ出した若様や姫様の物語を大量生産していたのである。



 

  製作  東映

  監督  加藤泰

  配役 松平千代三郎 大川橋蔵   鶴姫 大川恵子         馬場三十郎    加賀邦男 
  松平越中守 波島進   お松 故里やよい        
      北崎外記 大河内伝次郎   浅吉 千秋実        

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