家なき子 1994年(平成6年) ドラマ傑作選
小学6年の相沢すず(安達祐実)は、金に対し異常な執着を見せていた。
その貧しい家庭環境のせいか、嘘泣きを武器に、教室内でも校外でも金を盗みまくる。
すずが盗みに手を染めたのは、心臓に持病を持つ母親の治療費を捻出するためだった。
担任の片島智之(保坂尚輝)は、なんとかすずを立ち直らせようと一生懸命だ。
そんなある日、すずの母・陽子(田中好子)が酒乱の夫に殴られて緊急入院する。
すずは自宅に放火し、その罪を母親を殴った父・悟志(内藤剛志)になすりつける。
安達祐実主演で社会現象を巻き起こした90年代を代表する大ヒットドラマ。
「同情するならカネをくれ!」と叫ぶ主人公・すずのセリフは流行語になった。
主人公に過酷な運命を課し、その後に幸福を与えるのは、これまでの大衆ドラマの常道だった。
このドラマも当初、視聴者の目には、そうした結末が用意されているように見えた。
しかし、そこには不幸の後の幸福という物語の展開は存在していなかった。
その衝撃的な結末は、まさに未来の見えない90年代を象徴するかのようであった。
(制作)日本テレビ(脚本)高月真哉、野島伸司
(配役)相沢すず(安達祐実)相沢悟志(内藤剛志)相沢陽子(田中好子)片島智之(保坂尚輝)
岡崎章子(水野真紀)永井秀雄(塚本信夫)園田公昭(篠原俊晴)園田京子(小柳ルミ子)