剣客商売 1973年(昭和48年) ドラマ傑作選
老中・田沼意次の時代。
無名の剣客・秋山大治郎(加藤剛)が修行の旅より江戸へ戻ってきた。
大治郎は父・小兵衛(山形勲)と、十二年ぶりの再会を果たす。
小兵衛は江戸でその名を知られた無外流の達人だったが、今は道場を閉めて、
悠々自適の生活を送り、親子ほども歳の違うおはる(梶三和子)を妻にしていた。
小兵衛から道場を引き継いだ大治郎は早速「若先生」として町の人気者になる。
そんな大治郎の許に、ある日、奇妙な仕事が舞い込んでくる。
鰻売りの又六が、何とか十日間で、強くしてくれと頼み込んできたのだった。
1972年(昭和47年)小説新潮に掲載された池波正太郎の時代小説のドラマ化。
親子ほども歳の違う女房をもらい、気楽に生きる老剣客・秋山小兵衛と、剣ひとすじ、
真面目一本槍の息子・大治郎の許には、面倒な事件や揉め事がひっきりなしに舞い込む。
ときには剣にまつわる恨みもあり、多勢での闇討ちなど卑怯な相手にも、ひるまず戦いを
挑む親子の活躍ぶりが清々しい。
父親と女房の仲のよさに赤面するなど、大治郎のウブなところには、思わず笑いがこみあげる。
大治郎は「まじめ」な加藤剛にぴったりで、原作者の池波正太郎も認める存在だったという。
大治郎の一本気もいいが、原作よりも貫禄がある感じの小兵衛・山形勲の笑顔が心に残る。
1973年4月から9月まで全22話、見応えのあるシリーズである。
(制作)フジテレビ(原作)池波正太郎(脚本)安倍徹郎
(配役)秋山大治郎(加藤剛)秋山小兵衛(山形勲)おはる(梶三和子)佐々木三冬(音無美紀子)田沼意次(松村達雄)