今朝の秋 1987年(昭和62年) ドラマ傑作選
宮島鉱造(笠智衆)は、蓼科の山荘にひとりで隠居生活を送っていた。
ある日、息子(杉浦直樹)の嫁・悦子(倍賞美津子)が東京から訪ねてくる。
なんと息子の隆一が、余命三か月の末期癌で入院したという。
息子に会うために上京した鉱造は、別れた妻(杉村春子)と図らずも再会する。
妻のタキは二十数年前に、家を出ていき、それ以来一度も会っていなかったのだ。
息子のために何か出来ることはないかと訴えるタキ。
隆一は、両親の突然の訪問を歓迎しながらも、死期が近いことを予感していた。
鉱造は、隆一にせめて充実した幸せな時間を持たせたいと考え、大胆な行動にでる。
50代の息子が末期癌で入院。余命が三か月と聞き、蓼科で隠居生活を送っていた
父・鉱造は息子を見舞うために上京する。
そこで鉱造は、20年以上前に、別に男を作って別れた前妻・タキと再会してしまう。
鉱造はタキをまだ許せないが、彼女もまた息子との最後の時を過ごそうとしていた。
そして鉱造は、周囲には内緒で、息子を蓼科に連れて帰ろうとする。
「今朝の秋」とは、俳句の季語で、立秋の朝、秋の気配を感じたことをいう。
人生の秋を迎えた元夫婦が一人息子の死を目前に再会。
そして彼らは、一家の思い出の地・蓼科で最後のひとときを過ごす。
本作は、現代の高齢化社会の中での老夫婦の生き方、そして息子との絆を通じて
あらためて家族とは何かを考えさせられる作品である。
(制作)NHK(脚本)山田太一
(配役)宮島鉱造(笠智衆)中川タキ(杉村春子)宮島隆一(杉浦直樹)宮島悦子(倍賞美津子)美代(樹木希林)