こんな男でよかったら 1973年(昭和48年) ドラマ傑作選
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超ロングのコートにハイヒール、チリチリヘアーに、ふちなしメガネ。
見るも珍奇な風貌の、自称流行作詞家・余(あまり)七五郎(渥美清)。
美しいふるさと、幻の母を求めて、思い立ったように田舎道をバスに揺られ、
ここ岐阜の郡上八幡にやって来た。
ディスカバージャパンの旅とばかり、その故郷にうっとりしたのも束の間、
定年まじかの駐在所の老巡査(浜村淳)に、指名手配中の犯人と勘違いされ、
逃げるようにして、町の唯一の喫茶店「美濃」へ転がり込むのだが…。
フーテンの寅さんで、今や一世を風びする渥美清が、マキシコートの芸術家スタイルに変身。
郡上つむぎで有名な郡上八幡に住み着いた自称流行作詞家の、世にもぬけぬけとした生き方を
描くもので、渥美はこの主人公のために、音楽家シューベルトをモデルに、七五郎ルックを考案、
全篇この衣装で通すと、すこぶるごきげんだ。
だがしかし、郡上八幡の町に着いたそばから、指名手配中の犯人と勘違いされたり、
高倉健にあこがれる理髪屋の健(下條アトム)には、ナワバリを拡げに来たヤクザと
勘違いされてケンカを売られたり、町はてんやわんやの大騒ぎに。
ところが、そんなご当人の七五郎、何を血迷ったのか、芸者置屋「福の家」の女将、
お福(ミヤコ蝶々)をつかまえて「おなつかしや、おっかさん!」
共演は、つむぎの織姫・綾子の栗原小巻、倍賞美津子、浜村淳、下條アトム、財津一郎、
ミヤコ蝶々、島田陽子、春川ますみ、中村玉緒といった異色の顔ぶれだ。
(制作)YTV(読売テレビ)国際放映(脚本)早坂暁
(主題歌)渥美清「こんな男でよかったら」(作詞:早坂暁、作曲:高石ともや)
(配役)余七五郎(渥美清)綾子(栗原小巻)オモチャ(倍賞美津子)平助(巡査)(浜村純)
健(下條アトム)佐倉医師(財津一郎)お福(ミヤコ蝶々)翠(島田陽子)お玉(春川ますみ)
志津(中村玉緒)ルミイ(ストリッパー)(ひし美ゆり子)
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