めぐりあい 1968年(昭和43年) 邦画名作選
自動車の組立工・江藤努(黒沢年男)は、家庭の問題で苛立っていた。
父親の定年、弟の進学、家計は、努の肩に重くのしかかる。
唯一の慰めは、ベアリング店に勤める典子(酒井和歌子)の笑顔だった。
夏の海へ初めてのデート。灼けた砂、努の裸の胸。典子の白い水着。
いつしか唇を重ねる二人だった。
だが、幸せな時は、瞬く間に過ぎ、努はまた現実に引き戻される。
工場で大きなミスを犯し、左遷されてしまったのだ。
努は、プライドを傷つけられ、生きる意欲を失ってしまう。
そんな彼を、典子は遠くから見守ることしか出来なかった。
工業都市・川崎を舞台に、黒沢年男扮する自動車工場に勤める青年・努と、
酒井和歌子扮する中小企業の事務員・典子の恋物語。
それぞれの家庭が抱える現実問題を織り込みながら、若い二人の純粋な愛と
人間的な成長を描いた青春映画の佳篇である。
典子が努の逞しい体に、初めて「男」を意識し、身を固くする海辺のシーン。
そして豪雨の中、トラックの荷台で、二人の想いを爆発させ抱擁しあうシーン。
あるいは仕事の失敗で挫けそうになる努を、必死に激励するシーンなどで、
ひたむきな娘心を素直に瑞々しく表出している。
映画初主演の酒井和歌子の初々しい魅力が溢れた作品であり、短い青春期の、
さらにその中の一瞬のきらめきを、画面に輝かせて秀逸であった。
製作 東宝
監督 恩地日出夫
|
配役 |
|
江藤努 |
|
黒沢年男 |
|
|
|
今井典子 |
|
酒井和歌子 |
|
|
|
江藤順平 |
|
桑山正一 |
|
|
|
今井正治 |
|
有島一郎 |
|
|
|
江藤きよ |
|
菅井きん |
|
|
|
今井雅枝 |
|
森光子 |