緑の地平線 1935年(昭和10年) 邦画名作選 |
岡見良樹(中田弘二)は、許婚の早苗(黒田記代)がいるにもかかわらず、
未亡人の逸子(西條エリ子)やダンサーの奈津子(星玲子)と火遊びをしていた。
やがて愛欲に溺れる逸子は、奈津子と岡見を射殺、自らの半生を清算するのだった。
1935年「朝日新聞」の懸賞小説に入選した横山美智子の作品を映画化したもの。
この年にデビューしたばかりの原節子が、肺病病みのダンサー・ゆかり役で出演している。
原にとっては、初のトーキー作品となったが、まだ初々しさが残る中、星玲子、黒田記代ら
大スターと伍して、少しも引けを取らない演技を披露している。
本作「緑の地平線」はもともと流行歌(作曲:古賀政男)であり、この映画は
それを主題歌として劇中に登場させるために制作されたものである。
作曲した古賀政男は、著名な流行歌の作曲家であったが、当時日活と映画音楽で提携していた。
彼は作曲は勿論、その宣伝や新人歌手の養成まで手広く手掛け、文字通りの八面六臂の活躍の中から
「緑の地平線」「二人は若い」「青い背広で」といった曲が次々と生まれ、相次いでヒットした。
古賀は、四十曲近い作品を書きまくったが、映画公開後にレコードの売上が大幅増となるなど
戦前の映画の威力は大したものであった。
製作 日活
監督 阿部豊 原作 横山美智子
配役 | 瀬尾雄三 | 岡譲二 | 深沢奈津子 | 星玲子 | |||||||||
岡見良樹 | 中田弘二 | 未亡人逸子 | 西條エリ子 | ||||||||||
磯田鉄哉 | 小杉勇 | 吉井早苗 | 黒田記代 | ||||||||||
保科行雄 | 伊沢一郎 | ゆかり | 原節子 |