もめん・きぬごし 1973年(昭和48年) ドラマ傑作選
大学で国文学の講師をしている啓介(藤岡琢也)は、豆腐料理屋「うえの」の婿養子だが、
妻は一人娘の明美を残して早くに亡くなっていた。
ところが、ある日デパートの教養講座で、バイオリンを教えている千代子(星由里子)と
隣り合わせの部屋になり、彼女に一目惚れしてしまった。
啓介は、娘の明美をバイオリン教室に入れ、千代子に強引にプロポーズする。
千代子は啓介の純朴さに惹かれ、結婚を決意したのだが、父親の英太郎(高松英郎)はカンカン。
母親の紀江(町田博子)のとりなしで、一応啓介の家を調べに豆腐料理を食べに行くことにした。
一方「うえの」では、姑の信代(賀原夏子)と啓介の実母・し乃(村田千栄子)が、啓介の再婚は
「とんでもない話」とばかり、破談にしようと密談中。
啓介も「千代子さんとの結婚はあきらめました」と、プロポーズを撤回したため、二人の仲は
周囲の期待通りに、頓挫したかに見えたのだが…。
バイオリン教師が、豆腐屋に嫁いだばかりに、バイオリンを持つ優しい指で、豆腐を切るようになり、
やがて家族や店員たちから愛され、信頼され、店を経営していくまでを描いたホームコメディ。
ヒロインの星由里子が「養子で子持ちで定収入が無い大学講師の嫁になる」という、いまどき殊勝な
女性を好演している。
「肝っ玉かあさん」や「細うで繁盛記」が大ヒットしたのを受けて、老舗の料理店などに嫁いだ
ヒロインが店を一手に切り盛りするドラマがこの時期流行した。本作もその一つ。
(制作)MBS(毎日放送)東宝(脚本)岡本克巳
(配役)高島千代子(星由里子)高島英太郎(高松英郎)高島紀江(町田博子)悦子(児島みゆき)
上野啓介(藤岡琢也)明美(富永美子)信代(賀原夏子)し乃(村田千栄子)高野(桑山正一)