暢気眼鏡 (のんきめがね) 1940年(昭和15年) 邦画名作選 |
真木太郎(杉狂児)は、作家をめざして修行中だが、金もなく貧乏が染みついている。
下宿を借りて住んでいるのだが、家賃を滞納しているため、食事も出してもらえない。
そんな太郎の元へ、なぜか14も年が離れた芳枝(轟夕起子)という妻がやってくる。
妻の芳枝は、生まれてこの方、19年間、苦労の一つも知らずに育ってきたらしい。
だが、太郎と結婚したことで、極貧生活を送ることになってしまった。
しかし持ち前の暢気さで気楽に暮らし、貧しい生活を気にする様子もない。
そんな二人の間に子供ができたのだが、貧しいので良かったとも言えない気がする。
いずれにせよ、めでたいことなので、なるようになるさと楽観しながら日々を送っている。
1937年芥川賞を受賞した尾崎一雄の同名小説を島耕二監督が映画化。
轟夕起子が、売れない貧乏作家の夫を、天然の明るさで支える妻役を好演。
ある日、古道具屋で出物の風呂桶を買ったはいいが、家には風呂場がない。
置き場所も考えず風呂桶を買い込むなど、ユーモア満点の大活躍である。
こういう天然キャラを演じたら、轟の右に出る者はいないだろう。
ちなみに、当時ある雑誌が学生に試みたアンケート「嫁に迎えたい理想の女性」
で彼女の名が上位を獲得したという。
だがその年の1940年、日活のマキノ正博監督と電撃結婚、ファンをがっかりさせてしまった。
製作 日活
監督 島耕二 原作 尾崎一雄
配役 | 真木太郎 | 杉狂児 | 久美浜シナエ | 藤村昌子 | |||||||||
妻・芳枝 | 轟夕起子 | 山口 | 笠原恒彦 | ||||||||||
娘・和子 | 山田治子 | 田村 | 長尾敏之助 | ||||||||||
大観堂主人 | 星ひかる | 横矢さん | 山之上於久良 |