おはなはん 1966年(昭和41年) ドラマ傑作選
おはなはんのもとへ、親が勝手に決めた花婿が突然訪ねてくる。
花婿の速水中尉は、婚約破棄を告げにやって来たのだった。
おはなの父平造は「何をバカな!」と怒る。
だが、おはなはケロッとして問い詰める。
「せっかく交わした約束を破るのに、わけも言えんとは、卑怯じゃと思います」
「何、卑怯!」
「はい、軍人さんらしゅうありません。お髭が泣きます」
良家の子女に生まれた浅尾はな(樫山文枝)は明治36年、松山の女学校を卒業する。
家に帰ると突然、父親から、速水中尉(高橋幸治)との縁談が決まっていると知らされる。
当時は、親同士が決めた相手と結婚するのが普通だった。
女性は家を出て、婚家において良妻賢母となるのが、あるべき姿とされていたのである。
縁談に気の乗らないおはなだったが、一方の速水中尉も日露戦争のため、縁談を断りに来たのだった。
だが二人は、話を交わすうちに、妙に親近感を覚えて、けっきょく結婚することになった。
当初、はな役に内定していた森光子が病気で降板。急遽、俳優座の新人だった樫山文枝が抜擢された。
樫山は一躍人気をえて、平均視聴率45.8%を記録する大ヒットドラマとなった。
本作のヒットにより以降、「連続テレビ小説」は、新人女優の登龍門といわれるようになった。
またドラマの第一回は、夫となる速水謙太郎中尉が人力車に乗ってやって来る。
このシーンから、速水役の高橋幸治の人気が沸騰。
速水は演習中に病死するが、視聴者から多数の助命嘆願の手紙が寄せられた。
(制作)NHK(原作)林謙一(脚本)小野田勇
(配役)浅尾はな(樫山文枝)父・平造(中村俊一)母・てる(楠田薫)弟・正太(小林幸雄)叔母・ 岡本よし(木村俊恵)
速水謙太郎(高橋幸治)父・隆平(小山源喜)母・芳乃(北城真記子)祖父・襄介(花沢徳衛)