おかしの家 2015年(平成27年) ドラマ傑作選


幼いころ両親を亡くした太郎(オダギリジョー)は、33歳。
祖母の明子(八千草薫)と駄菓子屋を切り盛りしているが経営は厳しい。
彼は店の裏口で、日がな常連客と駄菓子を食べてはお喋りするという、
少年時代のような時間を過ごしているが、そんな自由きままな日々も
時の流れとともに、いずれは終わってしまうことに気付いている。
ある日、幼なじみの礼子(尾野真千子)が子連れで地元に帰ってきた。
離婚したばかりの彼女は、太郎との再会を機に、次第に心を開いていく。
おばあちゃん役の八千草薫が長年やってきた駄菓子屋「さくらや」を
ニートな日々を送る孫のオダギリが引き継ぐ……という話。
ダメ男のオダギリの「おばあちゃん子」ぶりがほほ笑ましい。
太郎(オダギリ)は、この駄菓子屋を守りながら、深夜のバイトをしている。
幼なじみの三枝(勝地涼)は、脚本家志望だが芽が出ない。
彼らは、将来どうすべきか語り合うが、できることは見つかりそうにない。
そればかりか、自分たち自身の身近な問題にも、なすすべを見いだせない。
それでも、彼らには是非とも大切にしたい、守りたいと思えるものがある、
ということが、そこはかとなく伝わってくる。
駄菓子屋が舞台というよりも、店の裏口の空き地にたむろする、かつての
少年たちの何げない日常が淡々と描かれる。
目まぐるしい現代に、無意味で無駄にもみえるようなたわいもなさが、
静かに問いかけてくる、そんな心地良さを与えてくれるドラマである。
(制作)TBS、角川映画(脚本)石井裕也、登米裕一
(主題歌)RCサクセション「空がまた暗くなる」(作詞作曲:忌野清志郎)
(配役)桜井太郎(オダギリジョー)木村礼子(尾野真千子)桜井明子(八千草薫)三枝弘樹(勝地涼)
金田剛(前野朋哉)島崎明(嶋田久作)木村春馬(大山蓮斗)武田武蔵(藤原竜也)清美(黒川芽以)
