お美津   1975年(昭和50年)       ドラマ傑作選

直線上に配置




お美津(岡江久美子)は、深川育ちの生粋の江戸っ子だ。幼くして母を亡くし、

植木職人の父・豊吉(河原崎長一郎)に育てられ、今ではすっかり女房役。


大正12年、18歳のお美津に山長たんす店の一人息子、長太郎(浜田光夫)が一目惚れ。

彼は反対する母親くめ(月丘夢路)を説得して、お美津に結婚を申し込んだ。

だが婚礼を目前にした9月1日、関東大震災が起き、その混乱で父・豊吉は帰らぬ人となり、

山長一家の生死も不明となった。


お美津は、帝大生の関口俊介(荻島真一)に助けられ、彼の故郷・和歌山へ避難し、

関口家で女中として働くようになった。

俊介の存在が次第にお美津の心に根をおろしはじめた頃、いとこの市子(奈良富士子)は

お美津に敵意を抱くのだった…。




東京の下町を舞台に、大正末期から昭和初期にかけて、精一杯生き抜いた女性の姿を描く。

ヒロインお美津は、婚礼の直前に関東大震災に遭い、人生の歯車が音を立ててきしみはじめる。


主演の岡江久美子は、これがドラマデビュー作であり、ポーラテレビ小説の歴代ヒロイン

としては最年少の高校3年生だった。とはいえ、なによりも初々しさでは群を抜いていた。


ドラマ終盤では、40歳のお美津を演じることになっており、何かと心配されたが、

歳に似合わぬ落ち着いた演技と雰囲気でこの大役を見事に乗り切った。


共演は、月丘夢路、金田龍之介、河原崎長一郎などのベテラン陣に加え、若手の浜田光夫、

荻島真一、奈良富士子らが脇を固めてヒロインの岡江を支えた。

ナレーターは、劇団四季のベテラン・日下武史が務め、名調子で作品を盛り上げた。



(制作)TBS(脚本)北村篤子

(配役)佐川美津(岡江久美子)佐川豊吉(河原崎長一郎)山長長太郎(浜田光夫)くめ(月丘夢路

作造(金田龍之介)千春(生田悦子)関口俊介(荻島真一)市子(奈良富士子)ナレーター(日下武史)


直線上に配置