女たちの海峡   1981年(昭和56年)       ドラマ傑作選

直線上に配置




医学生としてドイツに留学中の知之(田村亮)は、休暇を利用してスペインへ行った。

ジプシーの踊りを見に行った彼は、踊子の中に晴江(乙羽信子)という日本人女性が

いることに気付いた。


晴江がどういう人生を歩いた末、フラメンコダンサーになったのか、今の知之には

知るよしもない。


やがて帰国した彼は、ふとしたことから生け花師範の麻子(山本陽子)と知り合う。

お互いの趣味であるテニスを通じて、二人は次第に親しくなっていった。





だが知之には叔父の圭一郎(高橋昌也)から勧められた社長令嬢・理佐(金沢碧)

との縁談が進んでいたのだった。



山本陽子扮するヒロイン麻子が異国の地で暮らす生みの親を探すという、日本版の

「母をたずねて三千里」を思わせるドラマである。


休暇でスペインに来ていた若い医学生の知之は、ジプシー酒場で日本人ダンサーを知る。

帰国後彼は、銀座のパーラーで生け花師範の麻子と出会い、好意を持つが麻子の面影は

なんとなくあの日本人ダンサーに似ている。


ドラマの第一回は顔見世の感が強いが、物語の筋書きはひねりが効いている。

東京・下町の深川で義母の小夜子(ミヤコ蝶々)と義弟の哲朗(本田博太郎)と暮らす

麻子の生母は行方不明で、父親も誰かわからないという設定だが、どうやらあの日本人ダンサーが

母親ではないかと思わせるところが、母親探しのテーマを感じさせ、まずは興味をつなぐ。


ドラマの冒頭からスペインの町並みが登場してスケールの大きさを感じさせ、東京の下町とスペイン、

生け花とフラメンコと、静と動の取り合わせが面白い。


日本人ダンサーに扮した乙羽信子の年齢を感じさせないフラメンコの踊りも華麗で見応えがある。

情熱的なフラメンコギターの響きも随所に挿入されて効果的だ。


また、しっとりとした趣の山本陽子とチャキチャキの江戸っ子を思わせるミヤコ蝶々とのやりとりが

ドラマにはずみをつけている。



(制作)フジテレビ(脚本) 平岩弓枝

(主題歌)風のアンダルシア(作曲:樋口康雄、ギター:荘村清志)

(配役)高梨麻子(山本陽子)高梨小夜子(ミヤコ蝶々)高梨哲朗(本田博太郎)

脇坂知之(田村亮)脇坂誠一郎(山村聡)脇坂睦子(三宅邦子)脇坂圭一郎(高橋昌也)

安原理佐(金沢碧)ティラーナ(玉子)(高樹澪)川村晴江(ローザ)(乙羽信子)


直線上に配置