温泉若おかみの殺人推理 1996年(平成8年) ドラマ傑作選
宇佐美夏江(東ちづる)は、飯坂温泉望雲閣の若女将。
望雲閣の一人息子・拓也(渡辺いっけい)の元に嫁いで二年になる。
姑の松代(岡田茉莉子)に毎日しごかれながらも、持ち前の明るさで楽しく暮らしている。
そんなある日、夏江の幼馴染・一ノ瀬真弓(高樹澪)が、父親と夫とともに遊びに来る。
父親の浩太郎(高松英郎)は、一ノ瀬興業の社長で、超がつく金持ちだ。
また夫の明(草川祐馬)は、浩太郎が見込んで真弓と結婚させた、一ノ瀬家の婿養子である。
再会を喜ぶ夏江だが、真弓と明の夫婦関係は、どうもうまくいっていないらしい。
翌朝、夏江は温泉駅近くで明を見かけたが、その後朝食の時間になっても明は戻ってこない。
すると、明を誘拐したといい五千万円の身代金を要求する電話がかかった。
父親の浩太郎は、要求通りに身代金を準備して、犯人の指定の場所に運んだ。
だが結局、金は奪われたうえに、神社の境内で明も死体で発見される。
90年代に肩のこらないエンタメ路線という事で、素人探偵を主人公とした作品が多く制作された。
本職がルポライター(水谷豊、片平なぎさ、沢村一樹)やタクシー運転手(渡瀬恒彦)、葬儀社の
女社長(片平なぎさ)などで、これらの作品は、いずれもヒットして長期シリーズとなった。
本作は温泉旅館の若女将が、宿泊客が絡んだ殺人事件に巻き込まれ、その謎解きをするものである。
本作の特色としては、毎回別の温泉地が舞台となり、若女将を演じる東ちづるは、それぞれ違う
温泉旅館の、違う名前の若女将を演じている。
若女将とその夫が、旅館の仕事そっちのけで謎解きをしていると、姑の大女将(岡田茉莉子)
が現れて、あまり事件に首を突っ込むなと叱ったりする。
だがその裏では、息子夫婦よりも先に事件を解決しようと、仲居頭と協力して、必死になって
推理したりしている。その姿が何とも可笑しくて笑ってしまうのである。
本作はサスペンスながら、そんなコメディタッチの雰囲気が受け、1996年から2019年まで
23年間、全27作ものロングランとなっている。
(制作)テレビ朝日(ANB)大映(脚本)宇都宮郁代
(配役)宇佐見夏江(東ちづる)宇佐見拓也(渡辺いっけい)宇佐見松代(岡田茉莉子)岩木典子(根岸季衣)
榊原刑事(岡本信人)一ノ瀬真弓(高樹澪)一ノ瀬浩太郎(高松英郎)一ノ瀬明(草川祐馬)
富永竜治(藤堂新二)若林孝雄(菊池孝典)吉川ルミ子(須部浩美)諸井洋一(須藤正裕)